2010年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 44】 by 岡村恭子
VOL.44 春が来た!
torsdag den 25. marts 2010
映画の場面が一瞬にして変わるように、北欧の春もある日突然やってきます。
昨日まで、あんなに寒がっていたのに。
昨日まで、草花も潜水艦のように土から芽だけちょこんと顔を出し、
ジッと辺りの様子を伺っていたのに。そして、
昨日まで、「あと、もう少しの辛抱ね。」と言い合っていたのに。
一夜明けた途端、どうでしょう?!
明るい陽射しに思わずいつもよりニ時間も早起きして、
とにかくジッとしていられない…そんな浮かれた気持にかられながら、
動き回っていたら、汗ばむほど暑くなってきました。
キッチンの窓の寒暖計を見たら何と10℃を越しています!
我が家の庭も刻一刻と春色に模様替えを始めました。
蕾だったエランティスが一気に満開になりました。
咲き急いでいる!としか思えない程、只今“思いきり満開”です。
落ち葉を突き抜けて、チューリップの葉が元気に顔を出し始めました。
他にも庭の至る所からワサワサ、ズンズン、ニョキニョキ…
そんな植物達の囁きや息づかいが聞こえて来るようです。
長い冬の間ジッと土の中で我慢して、春の到来を心待ちにしていたのでしょう。
『もういいよー!』という春のサインに、喜び勇んで活動を開始した
草花達の姿はいじらしく感動的です。
そして、いよいよ私の庭仕事も解禁です。
まずは大きなシャベルで土を掘り起こして新鮮な空気を入れ、ついでに
木の枝の剪定や下草の整理などをします。こうした仕事は
花壇や薮の草花が成長する前に、やらなければなりません。
まったくもって、庭仕事は肉体労働なのです。
作業中にこぼれ種から発芽した木の赤ちゃんを発見して喜んだそばから、
長靴で小さな花の芽を踏んでしまったり…、一喜一憂の連続です。
すっかり夢中になり、気付くと泥んこで庭中を這い回っているような具合なのです。
俗物の私は悟りの境地になんて一生至らないでしょうが、
ひたすら植物に向き合うひとときは、何かしら清浄な心持ちになります。
自然は裏切らない。手をかけてあげると絶対にそれに答えてくれます。
文句ひとつ言わず健気に生きる植物達から、学ぶ事が沢山有るような
気がしています。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
”思いきり満開”のエランティス…
芝生の間からはクロッカス…
そして、庭の至る所からスノウドロップ。
いずれも「春が来た!」と、慌てて顔を出し始めた春の花達です。