2010年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 54】 by 岡村恭子
VOL.54 一ヶ月ぶりの*チク*チク*ステッチ**
torsdag den. 15 juli 2010
久しぶりに里帰りをしていました。
6月の日本は梅雨の入り、日増しに気温と湿度が上昇してゆき、
外出の度に顔が茹で蛸のようになっている私に「まだまだ序の口」、
みんなが口を揃えて言いました。
あらためて考えてみると暑い季節に帰ったのは、生まれたばかりの娘の
“お披露目里帰り”以来です。…という事は何と25年ぶり、
4分の1世紀ぶりということになります。
梅雨の晴れ間に散歩に出ると、湿った大気をまとった紫陽花が、
紫青のグラデーションでしっとりと咲いています。公園の木々は眩しい
陽射しを優しく受け止め、木陰のツツジが濃桃色に燃えているようです。
日常の何気ない景色にも梅雨時ならでは、の風情があって嬉しくなる。
実家の庭にも植木屋さんが入り、庭木の剪定をしてゆきました。
2日がかりの仕事を終えて職人さんが帰ったあとに梅の実がひとつ、
玄関脇の石の上にそっと置いてありました。梅の木に残っていた
最後のひと粒です。職人さんの自然を慈しむ気持が伝わってくるような
気がしました。あまりにもさり気ないから余計にそう思えたのかも知れません。
また或る日、外出から帰ると玄関に大きな紙袋がおいてありました。
中を覗くと、いかにも堀り起こしたばかりのジャガイモがたくさん!
何かいうと頼んでいる電気工事屋さんが持って来てくれたのだそうで、
ふむふむ、案外お母さん上手にお付き合いしているのね。と笑いながら、
さっそくポテトサラダを作りました。ホクホクしたジャガイモは
粘り気のあるデンマークのそれとはひと味違う美味しさです。
こうして母の傍で過ごした3週間。
分別ゴミに頭を悩ましつつも、市井の人々の人情に触れて、
しみじみとふる里は良い所でした。
そして、「ただいまー!」
久しぶりのデンマークはカラリと晴れ、庭は天まで伸びる勢いの雑草と
水不足でしなだれた紫陽花…。ついつい、あの瑞々しく咲いていたふる里の
大輪の紫陽花達を思い出して…しかし、ぼやいている閑は有りません。
留守を守ってくれた功労者=家人をせっついて、庭仕事に終われる毎日でした。
ようやく昨日垣根の刈り込みも終わりホッと一息。
夕方、乾燥している芝生にたっぷりと水をやっていたら、ノラ猫カナちゃんも
ご挨拶です。全てが出発前と変わらず平和です。
夕食後、庭で寛ぎながら思わず呟きました。
「やっぱり我が家が一番!」
このフレーズ、主婦が旅行から帰った時の感想No1なのだそうです。
不本意ながら私もご他聞に漏れませんでした。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
ようやく手入れの終わった庭。
通称”まるチャン”のつげの木も真ん丸に!
本日の庭からサルビとカプリフォリ。
「我が家が一番」と思うのはこんな時。