2010年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 55】 by 岡村恭子
VOL.55 真夏のTIVOLI散策
torsdag den. 22 juli 2010
このところ暑い日が続いています。
北欧の夏は涼しいだろうと思われがちですが、実は緯度が高い…ということは?
そうです!太陽がとても近い。頭上から降り注ぐ陽射しはかなり強烈です。
晴天続きの今日この頃、いつもは日光浴が大好きなデンマークの人々も
木陰で一休み、といった様子です。
寒さ対策は万全な北欧ですが暑さにはとても無防備です。さすがに
公共の乗り物や建物の中は涼しいものの、一般家庭にはクーラーなど有り
ませんから、直射日光をたっぷり吸収したレンガの家は、夜になっても
ポカポカ暖かい。そんな時に無理して室内にいることはない!というわけで、
木陰でブランチ、海岸のバーベキュー、キャンドルを灯して夕涼み…etc.
人々は戸外に集い短い夏を楽しみます。
思い思いに“今が旬”の夏を満喫する。そんな北欧の人々の夏の過ごし方は
何処か南スペインの人々の暮らしぶりにも似ているような気がします。
時間など気にせず暗くなるまで戸外で憩う。
いずれ劣らぬスローライフの達人揃いという感じです。
それに、どんなに頑張ったところでカレンダーのページをもう1枚
めくる頃には秋風が立ちはじめる。
みんな分っているのです。ほんの束の間の真夏日だということを。
私達も夕涼みがてら夕暮れ時のTIVOLIに出かけました。
TIVOLIはコペンハーゲン市庁舎と中央駅に挟まれた所にあります。
まさに街のド真ん中!こんな場所に?!と思う程、中に入ると緑豊かです。
メイン通路以外は砂利と土というのもかえって新鮮です。小道伝いには
そこかしこに花が咲き乱れ、花壇越しにカフェやレストランが見え隠れしています。
遊園地というとそういう場所も安手なイメージになりがちですが、
ここTIVOLIは高級レストランが多く、ビジネスマンが接待で使ったり、
パーティーにも活用されたり…そうしたちょっと気取ったスペースと
絶叫マシーンお目当ての若者達が違和感なく溶け込んでいるのも
魅力のひとつかも知れません。そんなことも含め、TIVOLIには遊園地とか
公園という言葉で言い尽くせない味わいが有るような気がします。
多分それは1843年に開園して以来160年以上という長い年月に渡り、
何代にも渡って手塩にかけてきたものだけが醸せる出す雰囲気なのだ
ろうと思います。行く度に「TIVOLIってみんなが笑顔になってしまう
玉手箱みたいだなあ」と思います。
夕暮れとともにその玉手箱に*照明が点ります。何処からともなくジャズが
聞こえて来ました。野外ステージでは名物のパントマイムシアターが始まり、
美しいバレリーナを子供達が夢見るように見入っています。
ふと見上げた空には、豊かに茂った木々の葉のレース越しに、夏の夜空が
広がっていました。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
* TIVOLIの照明デザインはPHランプをデザインしたPoul Heningsenが
手掛けた事でも知られている。
庭園越しにエレガントなNIMBを望む。
ゼラニウムもこんな風にアレンジ出来たら素敵です。
園内を走る電車、レストランでは食事を楽しむ人が…
赤ちゃんもゴキゲン!