2010年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 71】 by 岡村恭子
VOL.71 メトロに乗ろう
torsdag den. 11 november 2010
日本の電車網はすばらしいのひと言です。
新幹線はもとより全てダイヤ通りに運行し、停車位置も正確な上、
共通カードの登場で販売機の前に行列して切符を買う必要もなくなり、
本当に便利な世の中になったと感心します。
それに引き換え、福祉、デザイン産業など様々な面で先進的は
デンマークが、こと鉄道に関しては問題だらけの時代遅れ状態から
抜け出せずにいるのはどうしたことでしょう?国営事業からの脱却が
スムーズに行かないことが最大のネックという事ですが、
少々の悪天候にも影響して、真夏には暑さでレールが延びてしまい、
真冬は寒さで縮んでしまう。その度に大幅なダイヤの乱れが生じます。
電車よりもバスのほうがずっとしっかりしています。
ところがです。(先日、自転車大国と書いたばかりですが)年々
車は増える一方で道路は渋滞。もうこれ以上バスに頼れない、と
メトロの計画がはじまったのですが、具体的に進める前にまずは
市民の賛同を得なければ始まりません。
現実にこぎ着けるまで反対派の人たちを説得するために時間をかけ、
対話、説明会などが実に辛抱強く繰り返されていました。
メトロが市民権を得るまでのプロセスは、知らぬ間に町の様子が
一変してしまう国からやって来た私には驚きに値します。
ようやく2002年春、コペンハーゲン市内と空港を結ぶメトロが誕生、
ほんの少しですが、公共交通手段に幅が出来ました。
このメトロ、わずか3両編成のミニサイズです。
全てコンピューター制御の無人運転、車体は機能的でスッキリとした
イタリアンデザイン。もちろん、乳母車も自転車も乗り入れ可能です。
ラッシュアワーはかなり混み合うので、いつまで三両編成でやって
行けるのか?野次馬は少々心配ですが、現在、延長工事中の新しい
ラインが完成すると例の”骨董通り”の方まで空港から直結するはずです。
丁度、この原稿作成中に延長工事現場でバイキング時代の遺跡が
現れたとニュースで伝えていました。考古学者達はメトロ工事のお陰で
思わぬ掘り出し物に大喜びです。
この調子ではまたまた工事が長引きそうな予感ですが、のんびりと
少しずつ改善されて行く交通手段…傍目に歯がゆいけれど、
そういう所がかえってデンマークらしいと言えるかもしれません。
皆様もコペンハーゲン観光の折には*メトロ試乗を是非お試し下さい。
*www.m.dk
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
コペンハーゲンのメトロは縦穴式?結構地下深く降りて行く感じです。
乳母車も自転車も乗り込めます。
改札はありません。バス共通チケットです。
(黄色い所にカードを挿入、スタンプして、オーケー!)