2011年4月~6月
【きょうのクロスステッチ Vol. 90】 by 岡村恭子
VOL.90 普通の幸せを願う
torsdag den. 14 april 2011
4月9日は家人の誕生日でした。
赤いプレゼントでお祝いしてから早いものでもう2年です。
毎年彼の誕生日の頃にレンギョウが鮮やかな黄色い花を咲かせます。
枯れ枝だったライラックや柳は萌葱色の若葉をまとい始め、
花壇はアネモネ、ムスカリチューリップ、水仙、ヒヤシンスなど、
春の花で隙間の無いほどになります。そして、
昨日までは蕾だった花びらがパッと開くのも丁度その頃からなのです。
花頭をお日様に向けながらお隣り同士で、ヒソヒソ、わいわい、
ツンツン、るんるん…、そんな花たちの囁きが聞こえてきそうです。
擬音語の表現がとても上手な詩人、谷川俊太郎さんだったら、
いったいどんな言葉を並べるだろう?とボンヤリ考えながら
草花の新生の季節に誕生日を迎える、そのことだけでも彼は果報者だと
思ってしまいます。
ところで、我が家では誕生日を迎えたメンバーは、その日『 一日天下!』
という特権が与えられることになっています…と言って大した事は
しないのですが、でも、朝のテーブルにはパン屋さんの焼きたてパンが
並びます。(デンマークはパン屋さんが早起きで毎朝焼きたてパンを
売っています。これは本当に素敵なこと。)
小さなプレゼントも用意します。これが案外むずかしい。
それで、究極のプレゼントとして登場するのが根付きの草花です。
バラや紫陽花、オリーブの苗木や盆栽にするようなツゲの木など、
家族の誕生日記念の植物が植えられています。手入れをしながら、
当時を思い出したりして…それも楽しいものです。
かれこれ10年以上も前に家人の誕生日にプレゼントした白い紫陽花も
大きく成長しました。今年も夏に沢山の花をつけてくれるかしら?
この一ヶ月で人生の価値観も大きく変わりました。
安心して暮らせる事がどんなに幸せか、ということを痛いくらいに
教えられました。何気ない日常をもっと大切にしなくてはいけない!と
思うようにもなりました。
科学の進歩が自然破壊の連鎖を生み出すという、SFの世界のような世界に
なってしまったようですが、子供達に「 ほらっ!」と笑顔で手渡せる
未来予想図を描くには、私達みんなが諦めない事が第一なんだ!と思います。
心配せずに深呼吸できる生活、そんなとても普通の事が『特別な事』に
なってしまってはいけない!と思うのです。
普通の幸せを願う…今年の家人の誕生日は有意義な一日になりました。
岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.com/
お友達が制作したオリジナル手作りカード。
赤いチューリップが咲き始めました。
ライラックも緑の衣をまとい始めています。
これはルピナス。今から花が楽しみです。