2012年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 165】 by 岡村恭子
VOL.165 たまにフレンチ、時々ジャーマン
torsdag den. 15 november 2012
夜が長くなって来ました。これから冬至までどんどん暗くなって行きます。
それでも、デンマークは北欧諸国の中では一番南に位置しているし、
コペンハーゲンに次ぐ第二の都市オーフスのあるユトランド半島は、
ドイツと国境を接している、れっきとしたヨーロッパ大陸の仲間です。
北ドイツに続く半島からちょこんと顔を出し、スカンジナビア半島
( スウェーデン、ノルウェー、フィンランド )に対峙しているのです。
北緯55℃で「暗い!」などと言ったら、北緯70℃のラップランドに
暮らす人々に叱られてしまいそうです。
そんなわけで、一言に北欧4カ国(アイスランド入れると5カ国)といっても
広範囲で、それぞれお国柄や言葉も異なります。
陸続きで他の国に簡単に行けるという立地からなのでしょうか?
デンマーク語は日常何気なく使っている言葉の中に発音が ドイツ語に
似ている言葉や、何故か?フランス語と同じ単語もあります。
ドイツ語は地理的にも納得しますが、フランス語というのは意外な感じです。
例えば秋に出回るキノコ、その中でも一般的なマッシュルームのことを、
“ マッシュルーム “ と言っても通じません。発音もスペルもフランス語と同じ
champignon=シャンピニオンです。多分南欧から普及して北上し、
デンマークにたどり着いたのでしょう。そのままシャンピニオンと名付けられて
現在に至っているようです。
それからもうひとつ良く使うモノでは雨傘があります。これも、
フランス語の paraplue がデンマークでは paraply と、スペルは少し異なるものの、
発音は両方ともパプリュです。雨傘はイギリスの専売特許的アイテムだし、
イギリス紳士を真似て英語でumbrellaとなっても良さそうなものを、
何故かフレンチ! バイキングの 末裔達に 傘という便利なものを
最初に教えたのが、たまたまお洒落なフランス人だったのかもしれません。
いずれも自国語に翻訳せず、そのままというところが細かい所にこだわらない、
大らかな国民性を反映しているような気がします。
海を隔てた隣国イギリスよりも、陸続きの国々との文化交流が
盛んに行われていいたという事実が、日常の言葉の中にも垣間見ることが
出来て面白いですね。
秋の夜長の夕食には 熱々のグラタンがピッタリです。
さあ、今夜もシャンピニオンをたっぷり入れて作りましょう!
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
晩秋のクリスチャンスボー城(現、国会議事堂)
買い物の帰り道…きれいな夕焼け空に出会いました。
グラタンは寒い季節の定番メニュー。
Champignonと書いてシャンピニオンと読みます。