2012年10月~12月
【きょうのクロスステッチ Vol. 159】 by 岡村恭子
VOL.159 赤ちゃんの笑顔に癒されて・・・
torsdag den. 4 oktober 2012
このところ余り嬉しくないニュースが多いような気がします。
世界中から戦争や揉め事が無くなれば良いのに、と思っても人類の歴史
始まって以来無くなった試しがない、いつもどこかで問題が起こっている。
地球を遠くから眺めたらそんな個所がニキビの様にプツプツと見えるような
気がします。
日常の身近な場所でも何かしら問題はあるもので、だからこそ相手を
思いやる気持ちが大切だし、お互いの心遣いが通じた時には心から喜び合える。
愛すべきはそういうちょっぴり愚かで健気な人間達=我が身なのかも知れません。
先週末、そんな心から喜べる嬉しい事がありました。
ドイツに住む若いお友達夫妻が遊びに来てくれたのです。
前回会ったのが去年の4月でしたからかれこれ一年半ぶりになります。
懐かしい人の不意の訪問は嬉しいものですが、今回は更に嬉しい事が
ありました。玄関に出迎えた時大事そうに抱えているのは??
ひょっとして… あ か ちゃ ん?!!
そうです。少し会わずにいた間になんと 可愛らしい女の子のパパママに
なっていたのです。もう、本当にこんなに嬉しいサプライズはありません。
「キョーコさン達をビックリさせたくて!」という彼らの秘密作戦は大成功でした。
赤ちゃんはとてもご機嫌で初対面の私を見てニッコリ笑顔です。
純真無垢、透き通るように澄んだつぶらな瞳に見つめられると、長年の
喜怒哀楽が染み付いた我が身に恥じ入り、一瞬たじろいでしまいます。
生まれて数ヶ月の彼女のパワーに圧倒されっ放しでした。
そして、赤ちゃんの寝顔にうっとりと魅入りながら、あらためて世界の平和を
願ったのでした。
赤ちゃんの笑顔に癒されているうちにカレンダーは10月となりました。
気になっていたチューリップの球根を本日ようやく花壇に埋め込みました。
古い球根をなるべく痛めないように注意しながら土を掘り返し、
腐葉土をお布団の様に敷いた所に新しい球根を並べて行きます。
それから、夏の間赤い花を咲かせていたダリアを掘り起こしました。
プックリとしている根っこの部分だけを小さな植木鉢に移して、土を被せておきます。
こうして保存して置くと来年も楽しめるかもしれないのです。
本格的な落ち葉掃きに追われる日々がもうそこまで来ています。それまでの
しばらくは、夏の思い出をひもときながら、かすみ草やラベンダーの株分けや
それから…お天気の良い日は今の内に日向ぼっこです。
寒くて暗い季節までカウントダウン、北欧の秋は瞬く間に冬へとスライドして
行きます。
岡村 恭子
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つぶらな瞳が可愛らしい…。この次に会う時にはアンヨしているかな?
リンゴが収穫時期を迎えました。お菓子にお料理に大活躍してもらいます。
庭は日増しに秋の深まりを感じるようになりました。
【きょうのクロスステッチ Vol. 160】 by 岡村恭子
VOL.160 変わり易いのは秋の空。
torsdag den. 11 oktober 2012
ザワワーっと一陣の風が吹き渡ったと思ったら、その後にシャワーの
ような雨です。庭仕事もそこそこに急いで屋内に駆け込みました。
濡れた髪の毛を乾かしながら、「こんなお天気になるなんて予報で
言っていなかったのに」とブツブツ…。最近のお天気はまったく先が
読めません。でもひと雨ごとに秋が深まって来たことだけは確かです。
これからは日増しにお日様が遠のいて行きます。暖炉を焚いたり、
お菓子作りを楽しんだりと、室内で過ごす時間が増えて来ました。
ステッチハウスのページもクリスマスモチーフで華やいできましたが、
本格的な冬はまだまだ先のお話という事にして、ハロウイン間近な
週末の街に出かけることにしました。
まずはもうすぐシーズンオフになってしまうフリーマーケットから。
特別に探し物が有るわけでもなく、冷やかし半分だったはずが、気づけば
カーディガンとシャンパン用の木箱とマリメッコのコースターを抱え込んで
いました。嬉しいな…!掘り出し物を手にして満足したのも束の間、
次なる目的地ストロイエに向かう途中で小雨がぱらつき始め、ついには
本降りになってしまいました。
穏やかな天気になるとの予報はその日も見事に外れてくれました。
濡れた身体を乾かすついでに立ち寄ったのはツーリストインフォメーション。
普段は素通りしてしまう場所ですが、たまには観光気分でこんな雨宿りも
良いものです。宿泊、食事処、観光ガイドはもちろんの事、交通アクセス
など、かゆい所に手が届くような細かいインフォメーションが得られます。
壁面のシティーガイドマップは英語版も有るので便利です。
ハイシーズンはとっくに終わっているというのに多くの人で賑わっていました。
パンフレットを手に取りながら、さて、東京のツーリストインフォメーションは
どこにあるのだろう?と、傍らの友達と首をひねりました。
案外そういう事って知らないものですね。
そういえば、南スペインの小さな村に行った時の事、名物と言えばシェリー酒
だけの地図に名前も乗っていないようなそんな村に、とても立派な観光案内の
リーフレットがあって感心したけれど、もしかしたら何も無いからリーフレットを
作る気になったのかもしれません。その伝で言えば、東京くらい大きい都市には
夫々の街ごとにきっとインフォメーションセンターがあるはずです。
検索してみましょう。そして次回帰った時には観光気分で利用してみようと
思います。
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Christianshavnの運河沿いの並木も紅葉して、秋の深まりを感じます。
『 T.I . 』の様子。明るいインテリア、インターネットも自由に利用出来ます。
デザインと建築に関するガイダンスも豊富です。
【きょうのクロスステッチ Vol. 161】 by 岡村恭子
VOL.161 本当の男女同権ということは...?
torsdag den. 18 oktober 2012
アメリカの大統領選たけなわです。
テレビ討論会ではカメラ写りも票に影響するのでカメラを意識した
パフォーマンスも重要なポイントだとか、政治家でありながら
タレント的なセンスも問われてご当人達は大変でしょうが、野次馬と
しましては尚更興味津々です。
大統領選とは桁違いですが、ここデンマークでもいかにもこの国らしい
面白い政権交代劇が有りました。
そもそもの発端は外務大臣を務める与党第3党の党首が党首を辞任するという
ハプニングから始まりました。それも汚職とか賄賂とか政治家につきものの
スキャンダルではなく単に自信喪失という情けない理由からです。
それならば、外務大臣を辞退すれば良さそうなものを、そうは言わなかった
ところをみると、どうも党内での不人気が原因のようですが憶測はともかく、
前回の選挙で中道右派から左派に政権が交代した際には連帯して選挙に貢献、
党の支持率も急上昇して意気揚々としていたのです。
それから僅か2年でいとも簡単に党首の座を放棄してしまったのですから、
さあ、困ったのは党内のメンバー、折しも夏休みでのんびりとしていた所に
党首が引き起こした面倒な問題でみんな歯切れの悪い事!
それでも何とか重い腰を揚げて新党首を選出する事になり、すったもんだの挙げ句、
ようやく党内選挙が行われ新党首に選出されたのは前任者と打って変わって
溌剌とした女性議員、同時に経済産業大臣を任命されました。
これで現首相を筆頭に、この国の大臣は23人中9人 =約40% が女性と
いうことになりました。
改めて男女同権の国だと実感しますが、適材適所の人材を選んだ結果、
今回はこのようになりましたということであって、デンマークの人には
飽くまでも個人の能力を問うた 当然の成り行き、男女同権という言葉すら
色あせて感じる、まさに個人主義先進国の真骨頂です。
出産や育児等に関しても女性が安心して社会に進出出来るよう細かい点まで
配慮されています。育児休暇を取っている夫に子供を任せ、安心して職場復帰
出来るのですから、その気にさえなれば女性だって首相になれるというものです。
私の目には時として女性の方が有利な立場に見えなくもないのですが、
どうでしょうか?
弱音を吐いて党首の座を降りてしまった外務大臣ですか?
はい、もちろん?!男性でした。
岡村 恭子
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只今秋休みです。チボリもハロウィンオープンです。
室内に取り込んだ草花が春と間違えて花を咲かせています。可憐で心和みます。
【きょうのクロスステッチ Vol. 162】 by 岡村恭子
VOL.162 時間のトリック:時計の針を逆戻し
torsdag den. 25 oktober 2012
今年も冬時間の季節になりました。
北欧に暮らしていると夏&冬時間の変更が、人々の気持ちまで「明&暗」に
スパッ!と二分してしまうようです。
そして、毎年繰り返しているけれど 今年も「明」から「暗」の季節に
切り替わってしまうと思うと、やっぱり少し溜息まじりになってしまいます。
今週末の土曜日と日曜日の間に一時間後戻り…人々が夢の中のam3:00、
時計の針がam2:00にリセットされます。
良い子も悪い子もみんな朝寝坊が出来る特別な週末です。
もちろん、個人の時計の針は各自がその針を逆戻りさせる必要が有ります。
冬時間は時間が後戻りだからあまり問題はないのですが、
一時間早回しの夏時間に切り替わった時の失敗談は良く聞く話です。
もう随分の事、まだ携帯電話の無かった頃の失敗談です。
北欧にも遅い春がやってきた3月最期の週末、
列車でドイツから到着する友人を迎えに行く時の事でした。
腕時計を見ると随分早くついてしまい、時間つぶしにカフェでのんびりして
周辺を散歩し、ふと向い側の市庁舎の時計を見てびっくり!なんと、
もうとっくに到着予定時間を過ぎているでは有りませんか。そうだった!
今日から夏時間になったんだ!大慌てで駅に行くと、人気の無いホームに
ポツンと友達が佇んでいました。本当はもっと早く来ていたのに、と悔しい
やら申し訳ないやらで、あの時は本当に夏時間に切り替わったことを
恨めしく思ったのを覚えています。
そもそも、オリジナル時間は冬時間だったのを19世紀のイギリスの天文学者
George Hudsonが “ 夏時間 “ という概念を提案したのが始まりだそうです。
そして、ヨーロッパで初めて夏時間が実施された切っ掛けが何と1914年に
始まった第一次世界大戦。長引く戦争の中での省エネ対策だったのだそうです。
世界中を巻き込んだ戦争が切っ掛けとは意外ですが、そのシステムが現在まで
続いているわけです。日本でも去年の夏には省エネの為に夏時間を導入しようと
言う意見がありましたが、結局実施にはいたらなかったようですね。
省エネ対策の効果は分かりませんが、明るい季節は早起きして活動開始し、
暗い季節は少しでも長くお布団に包まってスロースタートというアイデアは、
北欧の暮らしにはとてもフィットしています。
EU諸国はもちろん一斉に冬時間になりますが、例えばUSAは11月最初の
週末からと決まっているそうです。
国によって一日24時間の使い方も夫々で面白いですね。
岡村 恭子
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葉が落ちてしまう前の束の間、庭は秋の色で明るく彩られます。
我が家のファサード。紅葉したそばから大きな葉っぱがバサバサ!と落葉して、毎日落ち葉掃きです。
ご近所の教会の前も落ち葉でいっぱいでした。
【きょうのクロスステッチ Vol. 163】 by 岡村恭子
VOL.163 11月 霜月 雪待ち月
torsdag den. 1 november 2012
早いもので11月になってしまいました。
「きょうのクロスステッチ」を連載するようになってから一週間の過ぎるのが
早いこと、早いこと!(笑)原稿を送ったそばから次回の文章を
あれこれと考え始めています。そう思って周囲を見回すと、何気ない
日常の中にも新鮮な驚きや、時には小さな発見もあったりして、
お陰さまで日々の楽しみも増えました。
12月を来月に控えてこれから日増しに気ぜわしくなって行きますね。
「師走」=先生も走る、とは昔の人は上手く言ったものです。
和語の月名には日本人ならではの季節感が込められていて興味深いけれど、
さて12ヶ月全てスラスラと言えるかというと甚だ心もとない…。
一月の睦月から始まり、如月弥生卯月皐月、とこの辺までは何とか
出てくるものの、その先になると少しずつ怪しくなってしまいます。
11月は何と言うのだったかしら?…そうでした。霜月でした。
霜の降りる頃を迎えようとしている…。別名「雪待ち月」とも言うのだそうです。
なんと雅(みやび)な呼称だろうと感心していた矢先、更に細かい暦が有ると
いう事を知りました。
365日を5で割って『72候』という、5日毎の暦だそうです。
例えば、立秋を迎えた8月7日〜11日は「涼風至」=すずかぜいたる。
10月中旬は「菊花開」=きくのはなひらく。 秋の終わりの丁度今頃は
「霎時施」=こさめときどきふる。…と読むのだそうです。
いずれも移り行く季節を身近な自然に託し、僅か3文字で表現しています。
一体どんな人がどんな時に書き記したのでしょうか?
平安の頃の宮中で絵日記がわりに楽しんで名付けたのかな?
きっと清少納言のようなインテリ女性に違いない、と勝手な想像が膨らみます。
そんな古(いにしえ)の人を真似て、私も72候を考えてみました。
ここ数日コペンハーゲンもかなり冷え込んできました。紅葉した木々が
一風吹くごとに葉を落とし北風に震えている、そんな風情を言いたい!
ですから、えーっと、えーっと…11月最初の北欧暦は …
「北風散葉」=きたかぜにはがちる。
嗚呼、どうしても4文字熟語になってしまいます。やってみると漢字三文字に
まとめるのは難しく、苦労の末出来たのが「聖控月」=クリスマスをひかえて。
むりやり三文字に押し込めました。
秋の夜長、みなさまもトライしてみては如何でしょうか?
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まり行く秋のコペンハーゲン、寒くたって防寒着で外のカフェに憩うのが北欧スタイル?!
ベンチに置いたままにしてあった庭の林檎、5線の上の音符のようだったので…。
【きょうのクロスステッチ Vol. 164】 by 岡村恭子
VOL.164 ウィークエンドショッピング
torsdag den. 8 november 2012
お天気の良い日曜日のマイブーム、それはブランチを済ませた
あとのショッピングです。
なーんだ、と思われるかもしれませんが、デンマークはつい最近まで
日曜定休、土曜日も半日営業だったりで、基本的には週末は買い物を
しない…否、出来なかったのです。
それが法の改定に伴い、商業店舗の営業時間が全て自由になった、
その途端に何と!デパートもスーパーマーケットも年中無休になりました。
今までの我慢が一度に解放されたかのような変わり身の早さに驚きます。
これはかなり画期的な出来事だ!と私は思うのですが、周囲は平静、
今まで通り何事も無かったかのようです。スーパーで特別セールを
やるわけでもなく、子供達に風船ひとつ配る気配もありません。
デパートの入り口に小さく『年中無休 am 10:00~ pm 8:00』と
書かれているだけ。近所のスーパーマーケットなどは年中無休で
朝8:00から夜10:00までオープンだそうです。これはもしかして
日本よりも営業時間が長いのではないでしょうか?
これからは金曜日に買いだめをする必要もありません。
買い忘れが有ると週明けまで我慢していたことも過去の出来事、
大変便利になった反面、何となくケジメの無くなりそうな予感がしてきます。
しかし、もう後戻りは出来ませんよ。だって、ほらね、今日もこれから
日曜日のショッピングです。
つい先日東京から戻ったばかりの娘に、東京の地下鉄乗り換えテクニックを
教えてもらいましたが、説明を聞いているだけでくたびれてしまいました。
彼女のフットワークに感心するものの、いざ、自分が出来るか?と言ったら
全く自信が有りません。
そこへ行くととコペンハーゲンはちっぽけな街です!我が家から旧市街地の
中心までメトロで15分程ですから、本当にご近所に出かける感じです。
メトロに乗って2つ目の駅が旧市街地の中心、Kongens Nytorv広場です。
そこから地下で直接繋がっているデパートの食料品売り場に直行、
買い物を済ませて広場に出たら…、まあビックリ!ジェームスボンドが
寝転がっていました!!
というわけで、今回はメトロ乗り入れ工事まっさかりの広場の様子をご覧下さい。
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Kongens Nytorv広場からニューハウン方面。工事中ならではの面白い眺めです。
工事現場にジェームスボンドが!… 映画『007 SkyFall』の宣伝でした。
こんな楽しいイラストも。
広場に面したフランス大使館もリニューアル中。レースで目隠ししてお洒落ですね。
【きょうのクロスステッチ Vol. 165】 by 岡村恭子
VOL.165 たまにフレンチ、時々ジャーマン
torsdag den. 15 november 2012
夜が長くなって来ました。これから冬至までどんどん暗くなって行きます。
それでも、デンマークは北欧諸国の中では一番南に位置しているし、
コペンハーゲンに次ぐ第二の都市オーフスのあるユトランド半島は、
ドイツと国境を接している、れっきとしたヨーロッパ大陸の仲間です。
北ドイツに続く半島からちょこんと顔を出し、スカンジナビア半島
( スウェーデン、ノルウェー、フィンランド )に対峙しているのです。
北緯55℃で「暗い!」などと言ったら、北緯70℃のラップランドに
暮らす人々に叱られてしまいそうです。
そんなわけで、一言に北欧4カ国(アイスランド入れると5カ国)といっても
広範囲で、それぞれお国柄や言葉も異なります。
陸続きで他の国に簡単に行けるという立地からなのでしょうか?
デンマーク語は日常何気なく使っている言葉の中に発音が ドイツ語に
似ている言葉や、何故か?フランス語と同じ単語もあります。
ドイツ語は地理的にも納得しますが、フランス語というのは意外な感じです。
例えば秋に出回るキノコ、その中でも一般的なマッシュルームのことを、
“ マッシュルーム “ と言っても通じません。発音もスペルもフランス語と同じ
champignon=シャンピニオンです。多分南欧から普及して北上し、
デンマークにたどり着いたのでしょう。そのままシャンピニオンと名付けられて
現在に至っているようです。
それからもうひとつ良く使うモノでは雨傘があります。これも、
フランス語の paraplue がデンマークでは paraply と、スペルは少し異なるものの、
発音は両方ともパプリュです。雨傘はイギリスの専売特許的アイテムだし、
イギリス紳士を真似て英語でumbrellaとなっても良さそうなものを、
何故かフレンチ! バイキングの 末裔達に 傘という便利なものを
最初に教えたのが、たまたまお洒落なフランス人だったのかもしれません。
いずれも自国語に翻訳せず、そのままというところが細かい所にこだわらない、
大らかな国民性を反映しているような気がします。
海を隔てた隣国イギリスよりも、陸続きの国々との文化交流が
盛んに行われていいたという事実が、日常の言葉の中にも垣間見ることが
出来て面白いですね。
秋の夜長の夕食には 熱々のグラタンがピッタリです。
さあ、今夜もシャンピニオンをたっぷり入れて作りましょう!
岡村 恭子
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晩秋のクリスチャンスボー城(現、国会議事堂)
買い物の帰り道…きれいな夕焼け空に出会いました。
グラタンは寒い季節の定番メニュー。
Champignonと書いてシャンピニオンと読みます。
【きょうのクロスステッチ Vol. 166】 by 岡村恭子
VOL.166 忙中閑あり 庭のこと 家のこと。
torsdag den. 22 november 2012
木枯らしで舞い落ちた枯れ葉を掃き集めて袋にまとめ、最期に庭の
水道の元栓を締めて、やれやれと一息つきました。
桜も林檎もプラムの木もすっかり葉を落として裸ん坊です。
春が来るまでしばらくの間庭仕事はお休み、暖かい室内で過ごすことが
多くなります。
これからの季節、みなさまのように刺繍が趣味だったらどんなに楽しいだろう
と思います。やってみたら?という声がチラホラ聞こえて来ますが、
自他ともに認める不器用人間の私は刺繍どころか、針に糸を通すだけでも
四苦八苦、やっぱり庭いじりやペンキ塗りなど、大雑把な作業の方が性に
合っているようです。
草花は生き物だと実感します。手入れをしてあげるとそれに答えてくれる。
反対に横着をすると的面に枯れる、花が付かない、虫食いになる!
植物は本当に敏感です。 今年はまあまあだったかな?思っていますが、
ただひとつ、庭の真ん中にある桜の木が、どうも元気が無いような気がして
心配です。昨冬が暖冬だったせいかな?…地球の温暖化も影響している
かもしれない。 この家が出来た1936年に植えられたので樹齢は多分80年
くらいでしょうか、まだまだ頑張って欲しい!来年も綺麗な花を咲かせて
くれます様にと祈るばかりです。
一方、カラリと晴れた夏の日にヤル気が出てしまうのが、
家の外回りのペンキ塗りです。一度始めると黙々とそれこそ夕飯の支度も
そっちのけで集中します。今年は裏木戸、お勝手口周辺、地下の入り口ドアと
立て続けに頑張りました。禿げかかっている個所をこそぎ落とし、平らにして…、
下仕事を完了したらこっちのもの?!あとは鼻歌まじりに塗ったそばから
「やったー!」と “ ささやかな達成感 “ を感じて嬉々とします。
明るい陽射しの中で、きれいになった個所を眺めながら、家に向かって
「綺麗になったね!」と語りかけて自己満足です。
築76年の古い住宅ですから近代設備の整った住まいとは比べようもなく、
不便だし、常に細々としたメンテナンスも必要です。
本当にエンドレス、手のかかる家!…とこぼしながら幾年月、気づけば23年。
暮らす程に愛着が湧いてきて、今では文字通りのスィートホームです。
きっと来年も庭の草花に一喜一憂したり、ペンキの刷毛を片手に張り切る
私がいることでしょう。
岡村 恭子
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きれいになったお勝手口。
このリース、赤い大きな実?が存在感主張していますね。
クリスマスディスプレイをしている所をパチリ!(Illmus Bolighus)
大きなツリーが門松みたいですね。(ロイヤルコペンハーゲン本店)
【きょうのクロスステッチ Vol. 167】 by 岡村恭子
VOL.167 ガレットブランチ
torsdag den. 28 november 2012
今年のカレンダーも最期のページに差し掛かろうとしています。
そして、恒例の?年末ブランチの頃となりました。
このページに連載を始めてもう4度目のお年越しです。
延江さんが日本の皆さまに北欧刺繍をより良いカタチで紹介したいと
始めたステッチハウス、その設立とほぼ同時に連載をスタートしたこともあり、
週一回原稿のやり取りをしているだけなのに、今では すっかり“お友達 “です。
さて、今年の年末ブランチは気軽なフレンチに決定。
場所はイスラエル広場のすぐ脇、小さな階段をトントンと下りた半地下の
レストラン「La Petanque」です。
イスラエル広場の事は以前紹介しましたが(VOL.106「ボンマルシェ」)
今では結構な賑わいを見せて新しいコペンハーゲンのスポットになった感が
有ります。オーガニックなワインやチーズのお店、スペン、イタリアなど南欧の
食材などは見た目にも美味しそうです。つい衝動買いをしたくなるのを押さえて、
今日は見るだけ!と言いながら私達が通りかかった時、丁度屋内に大きな
リースをと取り付けている所でした。クリスマス近し☆です。
La Petanqueの名物メニュー、ガレットはブルターニュ地方の郷土料理です。
同じフランス名物のクレープは小麦粉なのに、ガレットはそば粉を使っている
というのが意外で面白い。ブルターニュ地方といえば牡蠣が名物ですから、
多分冬は思いのほか気温が下がるのでしょう。蕎麦を栽培するのに適しているの
だろうなあ…と想像しながら、日本の蕎麦の産地でガレットが生まれても
良かったものを、そして、ブルターニュに暖かいスープに入ったお蕎麦が
有ってもよさそうなのに、そうはならなかった所がまた愉快です。
同じ食材を使ってもお国柄に寄って、こんなにも異なる方法が編み出される
のですから実に食文化は奥が深い。ガレットを頂きながらそんなことを
思ったりしたのでした。
昼下がりのコペンハーゲンはどこかのんびりしています。
レストランで働く人達が声高におしゃべりしているフランス語に、
まるでパリの下町に来たような気分です。テーブル越しに見える空が
明るくなって来ました。どんよりとした暗い朝からようやく北欧の短い昼間に
なりました。雲の切れ間に青空が顔をのぞかせています。
来年もまたステッチハウスで年末ブランチが出来ますように。。。
☆Joyeux Noel ☆
岡村 恭子
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美味しいガレットと楽しいおしゃべりで瞬く間に時間が過ぎて行きました。
パリの下町の雰囲気が漂うレストランのコーナー…。
レストラン並びにはパリの蚤の市に行ったようなアンティックブティックも!
マルシェの天井に大きなリースを取り付けていました。
【きょうのクロスステッチ Vol. 168】 by 岡村恭子
VOL.168 クリスマスカレンダーの思い出☆
torsdag den. 6 december 2012
12月の朝は、キッチンの窓辺に置いてあるキャンドルに火を灯して
一日が始まります。
聖夜☆まであと3週間。そして、直前の21日には一年中で一番暗い日
『冬至』を迎えます。冬至が過ぎれば少しずつ明るい季節に向かい始める。
そう思っただけで、ちょっぴり気持ちも軽やかになるというものです。
街はプレゼントを求める人で賑わいます。
季節限定アイテム『クリスマスカレンダー』が気軽なプレゼントとして家族や
友達の間で行き交い活躍するのも丁度今頃です。
たいていは数字の書いてある所にチョコレートが隠されているのですが、
先日は珍しくコスメティック入りのカレンダーを見かけました。
真っ赤な箱の中身が気になり、思わず手に取って振ってみたりしてしましたが、
当然ながら開けてみない事には分かりません!
デンマークに来るまで(30年以上も昔)クリスマスシーズンだけの、
カレンダーが有るなんて全然知らなかったので、その年の12月1日に
家人から雪景色の描かれたカレンダーをプレゼントしてもらった時には大喜び。
毎朝開けるのを楽しみにしながら、人々が指折り数えて聖夜を迎える
北欧のクリスマスを、とても羨まく思ったのを今でも覚えています。
娘が幼かった頃は、毎年手作りカレンダーを作ったのも懐かしい思い出です。
夜更けにキャンドルを灯したテーブルで、24個の小さなプレゼントを
作っている時は、北欧伝説のイタズラ妖精家族=Julenisse(ユールニッセ)も
さりありなん、という気分で楽しんだものです。それからかれこれ20年…、
ライフスタイルの急速な変化に伴ってクリスマスの過ごし方も変わって来ました。
クリスマス休暇を利用して旅行に出る人も増えたし、欲しいものが何でもすぐに
手に入る現在では、子供達がクリスマスを指折り数えることも無いのでしょう。
煙突からサンタクロースがプレゼントを持って来ることも、
屋根裏部屋にクリスマスの妖精が住んでいるということも、
今の子供達にはあまり説得力が無いようです。
時代の流れとはいえ、やはり少し淋しい気がします。
それでも、やっぱりクリスマスは特別です。
普段仕事に追われている大人達も子供との時間を楽しもうと努力します。
いつもよりもママがきれいだったり、パパが優しかったり、そして
毎日ご馳走が並んだり…、北欧のクリスマスは今年も人々にノスタルジックな
香りを運んでくれるに違い有りません。
岡村 恭子
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クリスマスマーケットではこんなジャンボキャンドルも登場。
ママと小さなツリーを選んでいた女の子。アドベンツに使うのかな?
代表的な手作りオーナメント、クリスマスハート。七夕の短冊みたいです。
中身が気になる?!クリスマスカレンダー。