2013年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 196】 by 岡村恭子
VOL.196 菩提樹の木の下で。
torsdag den. 4 juli 2013
7月になりました。
学校は既に夏休みに入り、いよいよ今週末から3週間全国的な夏休み=
インダストリアルホリデーになります。冬からずっと待ちわびていた
夏のバカンス開始です。北欧の夏全開!毎日暑いです!!と言いたい
のですが、夏至を過ぎてから気温が低めで庭仕事には持って来いの
陽気ですが海水浴には寒すぎる…という日が続いています。
私にはこのくらいが丁度過ごし易い。庭の植物達も元気で花付きも良く
長持ちしてくれます。今はバラが次々と咲き、カプリフォリ(すいかずら)が
レンガの壁に這うように花をつけています。毎朝、朝食前に庭に出て、
朝のテーブルに出せそうな葉っぱを集めます。今朝はパセリとバジル、
それから藪の中に潜って赤い実が可愛いワイルドベリーを手の平に乗せて
キッチンに戻りました。さっと水洗いしてテーブルに出します。
珈琲を入れてパンを焼いている間、冷たいヨーグルトに摘みたてのベリーを
乗せて大きなスプーンで掬いながら「美味しいね、ウチの庭で育った味がする…。」
そんな事を話しながら、夏ならではののんびりした朝のひとときを過ごします。
去年、庭の隅に植えたラズベリーに今年初めてトゲトゲの実が10粒ほどつきました。
レッドカラントも小さな緑色の実を房にして葉陰に見え隠れしています。
どれも夏の陽射しを受けてどんどん赤くなってゆきます。でも赤く色づく頃には
北欧の夏が終わりに近づいて行くという事なので…やっぱり、なるべくゆっくり
赤くなって欲しいな、とも思います。
もうひとつ期間限定のささやかな私の “ お楽しみ “ があります。
それは近所の通りの大きな木。背高ノッポのリンデンバウムの並木道です。
毎年今頃になると、その大きなリンデンバウムの木が明るい緑色の葉を
豊かに広げ、葉陰にクリーム色の花をたくさん付けます。そのクリーム色の花から
ウットリするような甘い香りがしてくるのです。
買い物途中に立ち寄り、自転車を止めて良い匂いに包まれて大きな木を見上げます。
その日も、そうして陽射しに透ける葉やクリーム色の花房を眺めていると、
たまたま犬の散歩で通りかかった中年紳士も笑顔で「良い匂いだ。」と大きく息を
吸い込んで言いました。
リンデンバウムは日本語で菩提樹。菩提樹と言えばお釈迦様がその根元に
お座りになり悟りを開いたというので有名ですが、甘い香りに包まれて
瞑想していたら夢見心地になって悟りどころではないだろうに、と
煩悩の固まりの私は不謹慎にも思ってしまいます。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
甘くて美味しいワイルドベリー。
7月初めの頃の庭の花から。
ゆったりと葉を茂らせたリンデンバウムの木。黄色っぽい花から良い香りが…。