2013年7月~9月

【きょうのクロスステッチ Vol. 196】 by 岡村恭子


VOL.196 菩提樹の木の下で。

torsdag den. 4 juli 2013


7月になりました。
学校は既に夏休みに入り、いよいよ今週末から3週間全国的な夏休み=
インダストリアルホリデーになります。冬からずっと待ちわびていた
夏のバカンス開始です。北欧の夏全開!毎日暑いです!!と言いたい
のですが、夏至を過ぎてから気温が低めで庭仕事には持って来いの
陽気ですが海水浴には寒すぎる…という日が続いています。
私にはこのくらいが丁度過ごし易い。庭の植物達も元気で花付きも良く
長持ちしてくれます。今はバラが次々と咲き、カプリフォリ(すいかずら)が
レンガの壁に這うように花をつけています。毎朝、朝食前に庭に出て、
朝のテーブルに出せそうな葉っぱを集めます。今朝はパセリとバジル、
それから藪の中に潜って赤い実が可愛いワイルドベリーを手の平に乗せて
キッチンに戻りました。さっと水洗いしてテーブルに出します。
珈琲を入れてパンを焼いている間、冷たいヨーグルトに摘みたてのベリーを
乗せて大きなスプーンで掬いながら「美味しいね、ウチの庭で育った味がする…。」
そんな事を話しながら、夏ならではののんびりした朝のひとときを過ごします。

去年、庭の隅に植えたラズベリーに今年初めてトゲトゲの実が10粒ほどつきました。
レッドカラントも小さな緑色の実を房にして葉陰に見え隠れしています。
どれも夏の陽射しを受けてどんどん赤くなってゆきます。でも赤く色づく頃には
北欧の夏が終わりに近づいて行くという事なので…やっぱり、なるべくゆっくり
赤くなって欲しいな、とも思います。
もうひとつ期間限定のささやかな私の “ お楽しみ “ があります。
それは近所の通りの大きな木。背高ノッポのリンデンバウムの並木道です。
毎年今頃になると、その大きなリンデンバウムの木が明るい緑色の葉を
豊かに広げ、葉陰にクリーム色の花をたくさん付けます。そのクリーム色の花から
ウットリするような甘い香りがしてくるのです。
買い物途中に立ち寄り、自転車を止めて良い匂いに包まれて大きな木を見上げます。
その日も、そうして陽射しに透ける葉やクリーム色の花房を眺めていると、
たまたま犬の散歩で通りかかった中年紳士も笑顔で「良い匂いだ。」と大きく息を
吸い込んで言いました。
リンデンバウムは日本語で菩提樹。菩提樹と言えばお釈迦様がその根元に
お座りになり悟りを開いたというので有名ですが、甘い香りに包まれて
瞑想していたら夢見心地になって悟りどころではないだろうに、と
煩悩の固まりの私は不謹慎にも思ってしまいます。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





甘くて美味しいワイルドベリー。







7月初めの頃の庭の花から。







ゆったりと葉を茂らせたリンデンバウムの木。黄色っぽい花から良い香りが…。

【きょうのクロスステッチ Vol. 197】 by 岡村恭子


VOL.197 のんびり日光浴の夏休み

torsdag den. 11 juli 2013


四季を通じて暑い寒い暗い明るいと一喜一憂、何事もお天気次第の北欧暮らし、
先週の今頃は涼しくてこのまま秋になってしまったらどうしようと心配していた
けれど、そんな心配を撥ね除けるような夏日がここ一週間続いています。

北欧は緯度が高いので直射日光を受けると紫外線をかなり強く感じますが、
デンマークの人はそんな事を心配する気配もなく日光浴に勤しみます。
ひたすら太陽の下で身体を焼いている姿は健気というか、必死と言うべきか…
冬のリベンジ!?今から暗い季節に対する抵抗力を付けようとしているか
のようです。私はクリームと帽子で日焼け対策怠り無し!それでも
庭仕事をしていると、ものの15分で腕や肩の辺りが赤くなってしまいます。
腕に限らず何でも直ぐパリパリに乾燥してくれる。例えば只今庭先ではプチトマトが
天日干しのまっ最中、半分に切って種を抜いた赤いトマトをお皿に並べ、
水切りザルを網代わりに被せて虫対策も万全です。丸一日干せばお料理や
サラダにもってこいのドライトマトの完成です。
トマト以外にもお天気の良いうちに干したいモノがたーくさん有ります。
普段は地下の乾燥室で乾かす洗濯物を筆頭に、お布団や冬物衣料などを
両手にいっぱい抱えてベランダに、裏庭に、はたまた芝生の庭へと
ドアを開けたまま往ったり来たり。途中で丁度見頃の花を摘んでみたり、
洗濯物を干している時に小さなトンボが飛んで来たり…
すっかり田舎暮らしの気分です。冬になったら屋内に閉ざされてしまうことを
思うと、尚更この開放感は季節限定の、それも晴れた日だけのご褒美だと思えます。

家人のデザインオフィスも夏休みになりました。自宅でのんびり過ごす予定ですが、
でも、少しはバカンス気分ね…と、気が向いた時にゴロリとできるよう木陰に
デッキチェアを出し、ラベンダーの花を束ねて紐でプラムの小枝に下げてみました。
「これで、よし!」…、そして、おやつに登場するのが水分たっぷりの赤い
スイカです。デンマークで売っているスイカは直径20㎝くらいの小粒です。
店先に山積みになっているのを一つ手に取ってポンポンッ!と叩いていたら、
通りがかりのおばあさんが覗き込んで何をしているのか?と聞きました。
お尻を叩いて高い音がしたら甘いのよ、と教えてあげたら、しきりに感心して
いましたが、実際にはやっぱり割ってみなければ分からないのがスイカのスイカたる
所以です。選りすぐりの一つを自転車のカゴに入れて帰って来ましたが、さてさて
赤いか甘いか酸っぱいか?!割ってからのお楽しみ!
こうして、我が家の夏休みは相変わらずののんびりムードで始まりました


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





割ってみるまで分からない西瓜。今回のは甘くて水分たっぷりの合格!でした。



ドライトマトにオリーブオイルとバルサミコの簡単サラダ。庭のバジルを添えて。



水上バスの乗客もデッキに出て気持ち良さそう。



夏恒例のコペンハーゲンジャズフェスティバル風景から。

【きょうのクロスステッチ Vol. 198】 by 岡村恭子


VOL.198 コペンハーゲンから"清き一票"

torsdag den. 18 july 2013


夏らしいお天気が続いています。
雨が降らないので庭はカラカラ状態、芝生は藁のようになってしまい、
歩くとカサコソ音がします。草花の水やりを怠るとたちまち萎れてしまうので
朝夕の水まきが欠かせません。特に紫陽花やバラは水分補給が何より大切。
晴れてくれるのは嬉しいけれど、この辺でひと雨欲しい、出来れば夜中に
降って、そして朝は止んで欲しい…と、これは贅沢な願い事です。

ところで、先日に引き続き(VOL.193 どうぞ みなさま ご用!)
又大使館に行ってきました。今回は皆さんより一足お先に
参議院選挙の投票でした。前回の衆院選の際に取得した「在外選挙人証」を手に、
お天気も良い事だし、サイクリングがてら自転車で出かけてみました。
近道を探しながら野原を抜けて行ったら…トトロの抜け道じゃないけれど、
すぽん!…という感じで、あんなに不便で遠かった大使館まで、とても簡単に
行けることが判明。やっぱりコペンハーゲンは自転車に限るのです。
通り抜けた野原一帯は自然保護林になっています。その日も散歩や
ジョギングの人、サイクリストなどが身近な自然を楽しんでいました。

さてさて、先ほどサラリと書きましたが…そうなのです。
私のような海外居住者が投票するには、まず最初に『在外選挙人証』を
入手しなければならないのです。大使館に書類を提出して大使の認印を押して
貰った後、更にその書類を戸籍の置いてある地方自治体のお役所にエアメールで
郵送。その後に件のお役所から届いた封筒が大使館経由で本人の手元に届く、と
いう大変に人手と時間をかけた有り難い?証明書なのです。
そうしてはるばる届いたのは、今時珍しい透かし風?色刷り三つ折りの小さな
紙でした。一回投票する度に小さな枠内に印鑑が押される仕組みです。
私は今回の投票でスタンプが計二つになりました。 スタンプを押せる場所が
7個所なので、あと5回投票出来るということになります。
一体これににどういう意味が有るのかは甚だ不明瞭ですが、 どうせなら
スタンプ欄をいっぱいにしよう!…と言っている傍から、
今回の選挙からインターネット投票が出来るようになると小耳に挟み、
そうしたら簡単になって喜ばしい反面、せっかくの『在外選挙人証』のスタンプを
集められなくなるじゃない?!…と、一票を投じながら思ったのでした。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





私の一番のお気に入り。青い蝶々のような可憐な花が次々と咲いてくれます。







大使館までサイクリング。
市民の身近な所に自然豊かな環境が広がっています。



これが『在外選挙人証』。ひと昔前のレトロな雰囲気が漂います。

【きょうのクロスステッチ Vol. 199】 by 岡村恭子


VOL.199 TIVOLIに行こう!

torsdag den. 25 july 2013


毎日暑いです!
何年ぶりかの夏らしい夏となりました。7月に入ってから快晴が続き、
庭はカラカラ状態、家人がホースで水を撒いたくらいでは “ 焼け石に水 “ です。
しかし、このお天気もいつまで続くのか?…。
ひと度雨が降り始めたらそのまま秋になってしまいかねないので、
今のうちに太陽の照りつける日々を楽しみたいと思います。
それに夏休みだし…そうだ、TIVOLI に行こう!…なんて、
ちょっとキャッチコピー的ですが、そんな感じで今年も出かけました。

TIVOLIには “ いつ行っても変わらない良さ “ と “ 行く度に新しい楽しみ “ が
待っています。今回まず気がついたのは以前にも増して芝生が敷き詰められた事。
今まで以上にベンチや椅子が増え思い思いに人々が寛いでいます。TIVOLIは
遊園地ではなくて公園ですよ!…と、自己主張?しているみたいでした。
園内の至る所に咲き乱れる花も、よく見ると種類も色のアソートも
毎年少しずつ違います。小径に沿った裏通り的な場所にまで色とりどりの草花が
まるで自然にそこに生えたかのように植栽され、心憎いばかりの
ガーデニングセンスです。
1834年に産声を上げて今年で170年。造園に当たっては日本庭園の
ノウハウを取り入れたのだそうです。当時と変わらぬ…緩やかな勾配、大きな池、
そして敷地内に茂る立派な樹木を眺めていると『全ての人々が楽しめる憩いの場』
という創設当時の精神を受け継ぎながら、年々美しく楽しく進化していることに
(関係者でもないのに)感謝したくなります。
池のほとり周辺には放し飼いにされている孔雀や『不思議の国アリス』に出て来る
ドードー鳥に似た赤いくちばしの鳥がのんびり散歩をしていますが、
あまりにも自然なので彼等とすれ違っても気がつかなかったりします。
名物の木製ジェットコースターは来年100周年。ガタゴトと見た目もレトロな
トロッコ式のコースターは未だに根強い人気です。一方で最新絶叫マシーンだって
負けていません。全部で5種類、でんぐり返ったり急転直下したり…、
歩いている頭上をコースターが轟音で通り過ぎて行きます。
私は今年もルーレットでチョコレートを当てたし、ギャロップ競争では一等賞の
水鉄砲をゲットしたし、フランボワーゼのケーキも食べたし、
それからビールで乾杯して…。楽しさ満載の夏のTIVOLIを満喫しました。

ほろ酔いの帰り道、大きな丸いお月さまが、まるでニッコリ笑っているようでした。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





青空の広がるPM 7:00 TiVOLIはまだまだこれから。閉園のPM12:00まで盛り上がります。



カフェで一休みしている私達にパレードの女の子が手を振ってくれました。



TIVOLIのケーキ屋さんも100年の歴史ある老舗です。





園内に咲く花はどれも本当に美しく写真に撮りきれません!

【きょうのクロスステッチ Vol. 200】 by 岡村恭子


VOL.200 200回目のクロスステッチ

torsdag den. 1 august 2013


夏休みで、隣家に小さな孫が遊びに来ています。
子供の話し声はどうしてあんなに可愛らしいのでしょう? 
普段は静かに暮らしているご夫婦が嬉しそうにしている様子まで伝わって来ます。
今日も朝から「Farfar ファーファー、Farmor ファーモア !」=
「おじいちゃ〜ん、おばあ〜ちゃん」と幼い声が呼んでいます。
庭で花に水をやりながら、聞くともなしに聞こえて来る祖父と孫の会話は
微笑ましく、第一、おじいちゃんのことをファーファーだなんて、ふんわりと
していて可愛い呼び方だなあ、と思うと同時に、そうそう息子さんの
子供だからね、と自動的に?合点が行くのでした。
何故かというと…デンマーク語で父=Far 母=Mor ここまでは普通ですが、
その先が面白くて、父方の祖父=Farfar 父方の祖母=Farmor 母方の祖父=
Morfar 母方の祖母=Mormor …という具合に分類しているのです。
書くとややこしいけれど非常に分かり易い方法です。おまけに加えれば、
父方の叔母=Faster 母方の叔母=Moster 、ところが…です。
叔父さんは一律で Onkel !何と言う事でしょうか?途中まで頑張ってみた
けれどアイデア尽きたのか?オジさんは一纏めにしてしまっています。
デンマーク人の友達に理由を聞いても首を傾げて笑うばかりです。
他にも普段使っている言葉の中に不思議がいっぱい有りそうな気がして
来ましたが、それはまたの機会にお話ししたいと思います。

さて、お隣りのお孫さんは「きょうのクロスステッチ」と同じ2009年生まれ
だそうです。4年前に産声を上げた赤ちゃんはおしゃべり大好きな女の子に成長し、
そして…なんと!「きょうのクロスステッチ」は今回で連載200回となりました。
毎週一回ずつ原稿を纏めながら、読者のみなさまに楽しんでもらえるかしら?と
不安になることも有りますが、その度に延江さんの「来週も楽しみにしています。」
という一言に元気をもらって来ました。日記を書いても三日坊主で終わってしまう
私のこと、毎週金曜日更新というノルマが無かったらここまで続けられなかった
ことでしょう。ありがとう!延江さん。
今ではお料理をしながらも次回の文章を考えたり、何気ない会話の中に題材を
探したり…。気分はすっかり “ ステッチハウスのコペンハーゲン特派員 “ です。
200+1回からも、文章のクロスステッチで楽しいモチーフを作って
お送りして行きたいと思っています。
これからもどうぞよろしく!


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





今までこのページに載せるために撮った庭のスナップが数えきれない程に…。
今回はその中でも私の気に入っている写真を選びました。














【きょうのクロスステッチ Vol. 201】 by 岡村恭子


VOL.201 ビールで乾杯!

torsdag den. 8 august 2013


ステッチハウス企画 『連載200回記念感想文募集』に沢山の方から
暖かいメッセージが寄せられています。有り難うございます!
10日が締め切りだそうです。この機会に是非ご感想をお寄せ下さい。
感想文を下さったみなさまにお返事を差し上げたいと思います。

先日はステッチハウスのお二人とビールで乾杯!しました。
延江さんが “ クルージングでワイン “ とか “ 運河に浮かんだレストラン “
などお洒落なプランを用意して下さったけれど、たまには下町ボデガも
楽しそう、という私の庶民派提案がめでたく?採用となりました。
またとない好天気の夏の宵。 場所はダウンタンの骨董通り。
(→Vol.70 骨董通りの散歩道)
昼間はアンティック屋さんやガラクタ屋さんが軒を並べている界隈が、
夕暮れと共にその雰囲気を変えてゆきます。カフェの店先にランタンが灯り、
仕事帰りの人達が立ち寄るような…、如何にも路地裏的な地元の人達の憩いの
場となります。パリの下町をイメージして(私を含む)ごく一部の人達の間で
“ Little Paris “ として親しまれています。
テーブルの上に何種類ものビールを並べてテイスティングしながら何度も乾杯!
楽しいおしゃべりに花が咲きます。いくらでも飲めそうです。
ほろ酔い気分になってグラスを傾けながら、この近所にワルシャワみたいな眺め
もある、とワルシャワに一度も行った事の無い私が言うのを彼女達が笑って
聞いています。夜風がひんやりと火照った頬を撫でて行きました。

下町ボデガを満喫しての帰り道、大きな橋を渡る時に思い出して言いました。
ここから旧市街地を眺めるとちょっと東欧的でしょう?……。
今回はカラリとした明るい夏の夜 だったので説得力に欠けましたが、
特に凍てつく冬の日などには、低く重たい雲の下に街が冷たく静まり返り、
一幅の絵画のような風景が広がります。
何気ない日常の風景が時として様々なイメージと重なり、それが一生の思い出に
残る事もあります。特別の匂いや香りにもそんな効果があるなあ、と思います。
今回の “ 下町ボデガのひと時 “ もきっと私の大切な思い出の1ページとなって、
思いも寄らない時にふっと “ あの日 “ の景色や匂いが蘇るに違い有りません。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/









8種類のビールのテイスティング!どれも美味しい。チーズやポテトがよく合います。



下にBreweryがありますが現在は使われていない様子です。



近所の人達が憩う気軽なカフェが並びます。



夏と冬では大違い。
凍った運河の景色は行った事も無い東欧のイメージが広がります。

【きょうのクロスステッチ Vol. 202】 by 岡村恭子


VOL.202 ゆく夏を楽しむ。

torsdag den. 15 august 2013


沢山の感想文を有り難うございました!
草花の写真からフレメの刺繍のモチーフを連想して下さったり、
のら猫カナちゃんを気づかって下さったり、励ましの言葉と共に
これからのご希望を書いて下さったり…。みなさまからの暖かいメッセージ
本当に嬉しく思いました。これからもコペンハーゲンから身近な話題を
ピックアップしてお送りして行きたいと思います。

さて、日本列島は記録的な猛暑に見舞われているとのことですが、
ここデンマークでは早くも秋風が立ち始めています。
今朝などは庭にTーシャツのまま出た途端 … ハッ クシュン!…。
慌ててカーデガンを羽織りました。出来る事ならこの” ひんやりした空気 “ を
「日本の空にまで飛んで行け〜」と、お裾分けしたいです。
ひと雨毎に涼しくなって来て一抹の淋しさを感じるけれど、でも、
虹の架かった夏至祭、青空の下で連日盛り上がったジャズフェスティバル、
白夜のTIVOLI、そして、ステッチハウスのお二人と乾杯した楽しいひと時、
何れもカラリと晴れてくれました。今年の夏は上出来!
大きな花マル◎をあげましょう。そういえば、デンマークのワイナリーも
大豊作で2013年は最高の出来という折り紙付き!だそうです。

我が家でも今のうちに夏を楽しもうとBBQをしました。
変わり易いのは秋の空、と言うには少し早いけれど、それにしても
見上げる空の雲の流れが速い!青空の向こうからダンダン…という風に
黒い雲がやって来る。家人は火を焚きながら様子を伺います…まだ大丈夫!
肉も野菜もどんどん焼いてゆきます。美味しい匂いに連られてカナ猫が
やってきました。庭先のテーブルでグラスを傾けおしゃべりしていたら、
ポツン!と来て大急ぎ、みんなで大移動です。そういうプロセスも楽しくて
ワイワイします。そして、無事にご馳走が焼き上がった丁度その時にザーッと
気持ちよいくらいのにわか雨。ドラマティックな空の下で乾杯しました。
スペイン帰りのH-氏がギターを奏でます。憧れのアンダルシアの話題で
盛り上がりました。http://copensmile.exblog.jp/10672065/
それにしても、どうして楽器というのは弾く人によってこんなに違うのでしょう?
我が家のオンボロギターとは思えない美しい音色にウットリしながら、
夜更けとともにいよいよ盛り上がり、晩夏のコペンハーゲンの夜は相変わらずの
ほろ酔い気分で更けて行きました。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





爽やかな夏のアクセントカラー。青いあじさい、赤いラズベリー、青いブルーベリー。






スパニッシュギターの音色にうっとり~。



今朝の のら猫カナちゃんです。朝ご飯を食べに来た所をパチリ!

【きょうのクロスステッチ Vol. 203】 by 岡村恭子


VOL.203 晩夏のコペンハーゲンより

torsdag den. 22 august 2013


新学期がスタートし、毎朝登校する子供達の元気な声が聞こえて来ます。
日曜日の昼下がりには近所のサッカー場の歓声が響いて来ます。
他にも教会の鐘の音や、何処からとも無く聞こえて来るテナーサックスの音色も、
明るい季節の解き放たれた空気と一緒に私の耳元まで届きます。
聞こえて来る…といえば、夏の間は土曜日の夜にTIVOLIの花火の音も聞こえます。
文庫本を抱えてベッドに潜り込む頃、遠くで花火の弾ける音がすると、
そろそろTOIVOLIの閉園時間=pm12:00という合図。そうすると何だか安心して、
本のページと一緒に瞼も閉じて “ おやすみなさい “ …となります。
他にも耳を澄ますと、日常のちょっとした音や気配から明るい空の下で
人々が集い、楽しんでいる様子が伝わって来て想像の羽根が広がります。

さて、コペンハーゲンではゆく夏を惜しむようにアウトドアのイベントが
続いています。先週末はアイアンマンレースが開催されました。
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/676.html 参照)
今年は王位継承プリンス、フレデリック王子が参加、水泳3,8km 自転車180km 
フルマラソン42,195kmを見事完走して大きな拍手で迎えられました。
デンマークのスポーツマンプリンス、実力証明です。なかなかやるものですね。
そして、このページが更新される今週の金曜日=23日はデンマーク観光スポット、
人魚の像が100歳の誕生日を迎えます。
地元コペンハーゲンにいるとわざわざ人魚の像を見に行くこともなく、
最後に行ったのはいつだったかもう記憶の外なのですが、でも、愁いをおびた
表情でしどけなく石の上に座り続けて100年、今日も世界中から訪れる
観光客の前で嫌がらずにポーズ?しています。ところで、この人魚の像には
どうも受難の相があるらしく、1964年、何者かに(後にデンマークの芸術家の
仕業と判明)頭部を切り取られてしまったのを皮切りに、その後も右腕を切断されて
しまったり、全身をピンクに塗られてしまったり…災難続きでした。
その度にきれいにしてもらい、また何事も無かったように石の上に静かに座って
海を見つめているのです。本当にご苦労さま!そして満100歳おめでとう。
これからの100年はどうか平穏無事でありますように…。

まだまだ秋に向かってイベントが続きます。今週末は食のイベントがあると
小耳に挟みました。食いしん坊の私は家人をせき立て、文化祭気分で出かけて
みようかな?と思っています。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





夏に実るレッドカラントはポークソテーやカレーなどのお料理とも相性が良く、
今頃の食卓を彩る名傍役です。



カプリフォリ(すいかずら)も赤い実を沢山つけましたが、こちらは食べられません!



笑顔で自転車に乗るプリンス フレデリック。(POLITIKEN.DK ニュース配信)


アイアンマンレースは水泳からスタート!(POLITIKEN.DK ニュース配信)


100歳のバースデーには100人のマーメイドが水に飛び込んだり、
ミュージカルを上演したり、と盛りだくさんのプログラムのようです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 204】 by 岡村恭子


VOL.204 小さな栞に寄せて。

torsdag den. 29 august 2013


7月に続き8月も晴天に恵まれました。こんなに “ 夏らしい夏” は
何年ぶりでしょう?!本日も空高く、気温20℃湿度13%の
運動会日和、遠足日和、そして私には打ってつけの読書日和!です。

プラムの木陰のテーブルまで、いそいそと珈琲を運び、それから文庫本を
抱えて行きました。ウィークデーの昼下がりに贅沢の独り占め!です。
そんな時には難しいテーマの小説よりも紀行文やエッセーの方がお似合いです。
インテリアのグラビア雑誌も楽しいけれど、それ自体が重たいという欠点が
あります。その点、手の平サイズの文庫本は本当に便利です。
さあて、誰にも邪魔されずのんびりと…と、読み始めて少しもしないうちに、
洗濯が終わっている事を思い出して、開いたページをパタン!…やれやれ、と
またページを開いて読み始めた頃にやりかけの雑事を思い出し、せっかく開いた
ページを閉じて…また開いて…。主婦は落ち着いていられない。我ながら呆れて
しまいますが、その度に感心するのが、おなじみ新潮文庫の焦げ茶色の細いリボン
の栞です。この栞が付いているだけでページの開け閉てのなんとスムーズな事か!
製本の際の手間をいとわず、ずっと栞付き文庫本を世に送り続けている所に
出版社の良心と矜持を感じます。そして、文庫本に限らず日頃何気なく
手に取っているモノの一つ一つに作る側の姿勢が反映していると改めて思います。

家人は家具デザイナーです。
家具は耐久消費材、見た目に美しいだけでなく耐久性が必要不可欠です。
我が家のダイニングチェアにしたって家人が20年も前にデザインしたものを
未だに愛用し続けているのです。長持ちは嬉しいけれど新しいデザインの商品も
売れて欲しい…。デザイナーのジレンマです。ですから、星の数程ある家具の中
から家人がデザインしたものを選び、今日も何処かで使ってくれている人がいると
思っただけで有り難く、想像しただけでとても嬉しくなります。

デザイン学校のクラスメートだったエリックと一緒に独立したのが24歳の時。
以来、今日までナショナリティーの違いを越えての二人三脚でやってきて、
この秋で40周年を迎えます。 夫婦よりも長い付き合いになってしまったと
笑っていますが、目立つ事を嫌い、常に使う人の立場になって実用に即した
上質のデザインを心がけて来た所は、文庫本の栞にも通じるものがあるのでは
ないかな?と思ったりしています。40周年に当たっての家人の感想は
「これからも今まで通りだよ」という事だそうです。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





今日の庭から。紫陽花がドライフラワーのようになってきました。



林檎が沢山付きました。赤くなるのが楽しみです。



家事の合間に読書三昧。



家人のデザインした椅子にマーガレーテ女王が! (skipper A/S 提供)

【きょうのクロスステッチ Vol. 205】 by 岡村恭子


VOL.205 秋のプロローグ

torsdag den. 5 september 2013


朝の陽射しがキッチンの奥まで差込む様になりました。
それだけお日様の位置が低くなって来たということ…。
早朝の庭には靄がかかり、木の枝に架かった蜘蛛の巣が水滴を
ビーズの様にちりばめています。
…秋です。
先日は今シーズン最初の煖炉を焚きました。何と気の早いと思われるで
しょうが、明る過ぎて寝付けない白夜の頃にも暖炉を囲み、取り留めない
おしゃべりをして過ごす事もあるくらいですから、季節にこだわらず
気が向くと気軽に煖炉を楽しむのも北欧スタイルです。
先日は私が暖炉を焚いている脇をドアを開けたまま家の者達が庭に出たり
入ったりして、まるで野原で焚き火をしているようね、と笑いました。
おまけに夕食は庭でBBQ!一日火を焚いてばかりいました。
ひんやりする夜気にセーターを羽織り即席キャンプ気分です。チロチロと
燃える炎に郷愁のような懐かしさを感じるのは、多分人間のDNAに組み込まれて
いる大昔の営みが蘇るからかもしれません。

そして今年もお隣りさんの庭に無花果が実る季節となりました。
夏には我が家のサクランボ、秋にはお隣の無花果が両家を行き交います。
今年も良く熟れた無花果が垣根越しに届きました。 無花果はそのまま食べても
あまり特徴のある味がしません。干すと甘みが出て美味しくなりますが、
干し柿の様に何日も気長に乾燥させなければならないので、やはり簡単に
ジャムにして保存するのが一番です。 皮を剥いて適当な大きさに切り、
お砂糖とレモン汁をたっぷり入れて小鍋で煮詰め、最後にバニラエッセンスを
加えるだけ、簡単で美味しいジャムの出来上がりです。
熱い紅茶と一緒に朝食のパンに乗せて頬張りながら、毎朝サクランボを摘んで
いた夏を思い出し、季節が秋のページになったことを実感します。

ところで、このブログが更新される予定の6日は東京スピニングパーティーの
初日ですね。https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/categories/99583.html
ステッチハウス代表の延江さんが、展示会場のブースで皆様をお待ちしている
事でしょう。今回もたくさんの素敵な出会いが有りますように…。
今頃準備で大忙しだろうなあ…そんな多忙な時に原稿をお送りして良いのかなあ…
と思いつつ。展示会のレポートを楽しみにしたいと思います。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





テーブルも秋の色合いで彩られる様になりました。



朝露に濡れた釣鐘草。







お隣りから届いた無花果はジャムにして。

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