2013年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 204】 by 岡村恭子
VOL.204 小さな栞に寄せて。
torsdag den. 29 august 2013
7月に続き8月も晴天に恵まれました。こんなに “ 夏らしい夏” は
何年ぶりでしょう?!本日も空高く、気温20℃湿度13%の
運動会日和、遠足日和、そして私には打ってつけの読書日和!です。
プラムの木陰のテーブルまで、いそいそと珈琲を運び、それから文庫本を
抱えて行きました。ウィークデーの昼下がりに贅沢の独り占め!です。
そんな時には難しいテーマの小説よりも紀行文やエッセーの方がお似合いです。
インテリアのグラビア雑誌も楽しいけれど、それ自体が重たいという欠点が
あります。その点、手の平サイズの文庫本は本当に便利です。
さあて、誰にも邪魔されずのんびりと…と、読み始めて少しもしないうちに、
洗濯が終わっている事を思い出して、開いたページをパタン!…やれやれ、と
またページを開いて読み始めた頃にやりかけの雑事を思い出し、せっかく開いた
ページを閉じて…また開いて…。主婦は落ち着いていられない。我ながら呆れて
しまいますが、その度に感心するのが、おなじみ新潮文庫の焦げ茶色の細いリボン
の栞です。この栞が付いているだけでページの開け閉てのなんとスムーズな事か!
製本の際の手間をいとわず、ずっと栞付き文庫本を世に送り続けている所に
出版社の良心と矜持を感じます。そして、文庫本に限らず日頃何気なく
手に取っているモノの一つ一つに作る側の姿勢が反映していると改めて思います。
家人は家具デザイナーです。
家具は耐久消費材、見た目に美しいだけでなく耐久性が必要不可欠です。
我が家のダイニングチェアにしたって家人が20年も前にデザインしたものを
未だに愛用し続けているのです。長持ちは嬉しいけれど新しいデザインの商品も
売れて欲しい…。デザイナーのジレンマです。ですから、星の数程ある家具の中
から家人がデザインしたものを選び、今日も何処かで使ってくれている人がいると
思っただけで有り難く、想像しただけでとても嬉しくなります。
デザイン学校のクラスメートだったエリックと一緒に独立したのが24歳の時。
以来、今日までナショナリティーの違いを越えての二人三脚でやってきて、
この秋で40周年を迎えます。 夫婦よりも長い付き合いになってしまったと
笑っていますが、目立つ事を嫌い、常に使う人の立場になって実用に即した
上質のデザインを心がけて来た所は、文庫本の栞にも通じるものがあるのでは
ないかな?と思ったりしています。40周年に当たっての家人の感想は
「これからも今まで通りだよ」という事だそうです。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
今日の庭から。紫陽花がドライフラワーのようになってきました。
林檎が沢山付きました。赤くなるのが楽しみです。
家事の合間に読書三昧。
家人のデザインした椅子にマーガレーテ女王が! (skipper A/S 提供)