2013年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 206】 by 岡村恭子
VOL.206 読書の秋、芸術の秋、漫画の秋?
torsdag den. 12 september 2013
2020年オリンピックが東京に決まったことで、ヨーロッパでも
ジャパンブームになるような予感がします。豊かな自然、名所旧跡、
美味しい食事にショッピング…。そして、MANGA!?…そう、漫画です。
北欧でも若者中心に浸透して、今や日本のサブカルチャーの代名詞は
カラオケからマンガに取って代わりました。折しもコペンハーゲンでは
只今「手塚治虫展」開催中です。
緑豊かな公園の入り口にある『Storm P .記念館』(www.stormp.dk)。
Storm p.というのはデンマーク人なら誰でも知っている人物の名で、
その名前を聞いただけで笑顔になれる、という1900年代を代表する
風刺漫画家であり洋画家、ある時は発明家、はたまた自らピエロを
演じる喜劇俳優…と、多彩なアーティストとして故人となった今でも
国民に親しまれています。そんな” ストームおじさん “ の世界が広がる
小さくてカワイイ記念館で、日本から来た「鉄腕アトム」や「ブッダ」が
どんな風に人々出迎えくれるのでしょうか?…行ってみましょう。
今年の『芸術の秋』は漫画鑑賞からスタートです。
ひと部屋毎に、例えば「火の鳥」の部屋には火の鳥が、「鉄腕アトム」の
部屋にはアトムが壁一面に描かれています。 DVDで動画も流れています。
(音声はとても控えめです。)窓から柔らかい初秋の陽射しが差し込みます。
壁面に手塚治虫の描いた原画が 整然と並びます。手塚家にお邪魔したみたいです。
彼は下書きをしなかったという話ですが、よーく見ると薄く鉛筆で描いた個所が
あったり、切り抜いて貼付けた台詞の吹き出しもリアルです。
原画の説明はバーコードを手持ちのスマートフォンにスキャンするか、
データーの見られる iPadが当然のように設置されています。
それらを来場者が上手に使いこなしています。今時のデジタルな美術鑑賞に
感心しながら、私はパネルに書かれた説明を黙読です。
テーブルには色鉛筆やサインペン、” 大きな☆入り瞳 “ の描き方の説明イラスト。
子供達が真剣な表情でMANGAに挑戦していました。自由に閲覧出来るように、
ソファと漫画も置かれていて、すっかり寛いだ少女が二人夢中になって
ページをめくっていました。日本の漫画は世界に誇る文化に成長したようです。
記念館を出るとお向かいの教会の鐘が鳴り響き、丁度結婚式を終えたカップルが
祝福されていました。秋晴れの空の下晴れやかな空気が街中を包んでいました。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
壁一面にアトムが描かれた部屋で漫画の書き方を練習をしている女の子。
ミュージアムショップの窓辺にアトムグッズが並んでいました。
こんな所にもイラストが!イタズラ好きのストームおじさんワールド。
記念館に隣接するFrederiksberg Gardenをアイスクリーム片手に散策。
初秋の陽射しが気持ち良い一日でした。