2014年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 227】 by 岡村恭子
VOL.227 ビールにまつわるこぼれ話。
torsdag den. 16 februar 2014
先日、” Statistik “ と書かれた一通の封書が届きました。いわゆる世論調査です。
健康に関するアンケートでした。以前は幸福度に関するアンケート用紙が
届きました。アットランダムに対象者を選ぶという割には頻繁に私のところに
舞い込んできます。今回は国民(私はデンマーク国民ではないのに…)の
健康とその管理状態を把握するという主旨で8ページ程、○×式で質問に
答えて行きます。毎日の運動量、日々の移動手段、食事内容などに続いて
飲酒状況というのがありました。記載されているアルコールの種類、頻度と
摂取量などを○×で答えなさい、だなんて難しい。日によってお酒の種類も飲む量も
色々だし…と、苦笑しつつ、まあ平均的な所に○をしておきました。
デンマークの人は本当にビールが大好きです。フランス人は水のように
ワインを飲むと言いますが、デンマークではそれがビールです。
暑い夏には切れ味の良いさっぱり系、春先はまろやか系、といった具合に
種類も豊富です。地方に行けば自慢の地ビールが数えきれない程あります。
昼間からカフェで気軽にビールを飲むのもデンマークスタイルです。
家人のオフィスの近所には大手ビール会社Tuborg(ツボルグ)社所有の
敷地が有り、その一角に大きなビール瓶が風雨にさらされながら立っています。
周囲の風景とまったくとけ込んでいない!違和感100%の高さ約15mほどの
色あせた緑色のモニュメント…。でも、この一見滑稽にも見えるノッポの
ビール塔には、実はとても面白いエピソードがあります。
それは1888年のことでした。
その年コペンハーゲンのチボリで北欧産業博覧会を開催する事になり、
博覧会の目玉としてこのタワーが建設されることになったのだそうです。
キャップの部分が展望台になっていて水力を利用したポンプ式エレベーターを
設置したといいますから、汲み上げ式井戸のようなものだったのでしょうか。
とにかく連日大人気、大変な人出だったそうです。
今から126年も前にこのような奇抜なアイデアを実現したという所に
デンマーク人の精神的な大らかさを感じます。塔の入場料5オーレは何と!
ビールを飲んだら返金してくれるという、とってもお得なキャンペーン付きで、
ビールの売り込み作戦も大成功だったそうです。
もしかしてデンマーク人のビール好きはこの時に始まったのかも知れません。
今日も、“ 水代わりのビール “ が人々の喉を潤していることでしょう。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
エッフェル塔で世界を驚かせたParisの万博(1889年)より
ビール塔の方が一年先輩!と自慢している所は如何にもデニッシュユーモア。
これが現在のビール塔です。周囲の風景に全然とけ込んでいません!…が、そこがご愛嬌?
ビールはビンの方が美味しく感じます。
ゾウの栓抜きはジョージジャンセン社製、ビールを飲む時の必須アイテムです。
今朝の庭から。北欧に春の訪れを告げるエランティスの花が咲き始めています。