2014年1月~3月
【きょうのクロスステッチ Vol. 232】 by 岡村恭子
VOL.232 「お花見」に「おままごと」:土足厳禁足裏文化?
torsdag den. 27 marts 2014
今週末には夏時間がスタートします。
時計の針を一時間早めるだけなのに不思議なくらい明るく感じるように
なります。毎年の事ながら魔法にかかったような気持ちです。
冬の間枯れていた垣根や薮に新葉の萌葱色が挿し始め、そこにレンギョウの
黄色い色が混じり合い、庭の様子も日一日と軽やかになってきました。
でも、庭の桜の蕾はまだ固く、お花見まであとひと月くらいかな?と
いう感じです。
日本は丁度桜前線北上中ですね。今週末あたりはお花見の人で何処も
賑わうことでしょう。桜の花びらの下で赤い毛氈ではなく青いビニールシート
というのが少々味気ないような気もしますが、靴を脱いで車座になり、
お弁当を開いて、すっかり寛ぐ…そんな “ お花見 “ は幼い頃の ” ままごと “ に
も似ているような気がします。
最近の子供達はおままごとなどしないのかも知れませんが、私が子供の頃は
女の子が一度は夢中になる「ゴッコ遊び」の王道でした。
小さな敷物を広げ、クツを脱いだ場所が玄関で、その反対の隅っこが台所、
砂や葉っぱで作ったご飯をお父さん役の男の子に食べさせる。お父さん役の
男の子はその辺をクルッと回って帰ってくるのが決まりでした。小さな敷物の
上は土足厳禁、「ただいま」と言いながらクツを脱ぐ。女の子がそのクツをきちんと
揃えてたりして、実に大人達の様子を観察していると感心しますが、それはさておき、
お花見もやっぱり土足厳禁…というよりもまずは靴を脱いだ、その途端に
寛ぎモードに切り替るというのは、お花見に限らず私達日本人の生活文化の
大きな特徴かも知れません。そもそも靴を履いている状態を「土足」と表現する
ところに既に私達の暮らし方の基本姿勢が見て取れます。
外から帰った時、もしも玄関にきちんと揃えらた履物があれば、その履物の
様子から来客が誰なのか分かる。時には訪問者の意図まで察知できます。
作家、角田光代さんが靴を脱いでく寛ぐ日本人の所作を「日本特有の足裏親善文化」
という面白い表現で語っています。電車や飛行機で靴を脱ぎ、他人様に靴下の足裏を
丸見えにしている姿は困り者だけれど、それは靴を履いたままの西洋文化が
混在している場所だからで、お花見や相撲の桟敷でだったら相手の足裏が丸見えでも
気にならない。というようような内容の文章に大いに納得したのでした。
実はデンマークの人だって自宅で寛ぐ時には靴下の裏を見せているのです。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
庭の桜の蕾はまだ固く閉じたままです。
春の陽射しを浴びて紫陽花も新芽を沢山出し始めました。
新しく買い足したパンジー第2弾。(以前のは庭に植えました。)
レンギョウの枝を水に生けたら一晩で蕾が開きました。
【きょうのクロスステッチ Vol. 231】 by 岡村恭子
VOL.231 デンマークの暖房事情昨日今日
torsdag den. 20 marts 2014
春らしくなって来たとはいうものの、まだしばらくは暖房が欠かせません。
デンマークの都市はほぼ100%地域暖房が完備しています。
80℃以上の熱湯が水道同様に各家庭に引き込まれているのです。
ラジエーターを好みの温度にセットすれば氷点下の真冬も室内は常春状態、
給湯による対流式ですから、クリーン、 安全、 快適と3拍子揃った
暖房システムです。そんな優等生の地域暖房が突然ストップしてしまったら
どうなるか?… そんなハプニングがつい先日ありました。
供給源の機械故障が原因で、コペンハーゲンを中心に10万世帯のセントラル
ヒーティングと給湯が一斉にストップしてしまったのです。
我が家もその10万分の1軒に当たってしまいました。宝くじなら嬉しいけれど、
家中のラジエーターが冷たくなり、給湯の蛇口からも生温いお湯しか出て来ない
なんて困った…と言いつつ我が家だけじゃない、という安心感?も手伝って、
ここは一つ修復工事がんばってもらいましょう。折しも日曜日です。
少し厚めのセーターを羽織り、暖かい珈琲を入れてのんびり…(停電では無いので
電気は来ている)この家に引っ越して来た時の事を思い出しました。
実は、我が家に地域暖房システムを導入したのは他ならぬ私達なのです。
今からもう20年以上も前の事です。
入居時には地下にあるボイラー(燃料は軽油)で貯蔵タンクのお湯を湧かし、
それで家中の暖房をしていたのです。1936年の設計当時はコークスだった
そうで、一日中コークスをくべる使用人がいたと聞くと機関車みたいね、と
可笑しくもなりますが、コークスにしろ軽油にしろ当時としては贅沢な
設備だったのだろうと思います。でも、時代は変わりました。
長年、来る日も来る日も大きなタンクにお湯を湧かし続けてきたボイラー、
ご苦労さま。これからは地域暖房のお世話になります。…と言う訳で、
引っ越し早々まず最初に取りかかったのが地域暖房の引き込み工事でした。
クリスマス前に越して来て、年明けに工事を依頼、完了したのは北欧に
遅い春がやってくる丁度今頃の事でした。その冬は暖房が不備で寒かったはず
ですが、とにかく家族みな風邪もひかずに元気に乗り切りました。
そして、日増しに明るくなる中で、*アルネヤコブセン設計の家の住人となった
喜びと、そんな私達が、それなりに設備を整える事が出来たという満足感と、
穏やかに家中を温めてくれる地域暖房の有り難さを実感した春となったのでした。
*http://www.arne-jacobsen.com/da/arne-jacobsen
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
今朝の庭から。
あちらこちらから愛らしい春の花達が顔を出し始めました。
我が家の3本の煙突、2本が煖炉用で右端の奥に見えるのは今は不要になったボイラー用です。
ラジエーターによる暖房で部屋全体が一定の温度に。
【きょうのクロスステッチ Vol. 230】 by 岡村恭子
VOL.230 体験するってステキなこと。
torsdag den. 13 marts 2014
デンマークは暖かく春らしいお天気が続いています。
先日はコペンハーゲンでほんの一瞬ですが18℃を記録しました。
春を通り越して初夏の陽気に、街は日光浴を楽しむ人達で溢れ、
私の庭仕事もはかどります。今月末には夏時間になるし、
丁度一ヶ月後には北欧に春を呼ぶイースターホリデーが巡って来ます。
明るい季節がやってきた!と、みんながニコニコしているような気が
する今日この頃です。
そんなある日のこと、面白いTV番組を見たと友達からメールがありました。
なんでも成田空港で外国人にインタビューするというもので、
デンマークの若者2人が密着取材ということになったとか、
高校卒業の記念旅行でやって来て、初めての事ばかりに目を輝かせる
二人の様子に、彼女も好感を持ってくれたようです。
彼等に限らずデンマークの若者は実に気軽に世界中に飛び出します。
アルバイトで一生懸命旅費を貯めたりしてがんばります。冒頭の高校生も
今回の旅行で見聞を広め、未知の国だった “ 日本 “ をグッと身近に感じて
帰って来る事でしょう。同じように日本にも北欧に興味を持っている人が
沢山いるはずです。北欧刺繍の大好きな方の中にも行きたいけれど、
何となく足が遠のいていた方が案外沢山いるのではないでしょうか?
今回ステッチハウスが参画している旅行企画『北欧刺繍と北欧の初夏を楽しむ旅』
は、そんな方々にとって正に趣味を通して北欧を体験出来る又とないチャンス
ではないかな?と思ったりしています。
北欧の空の下に広がる野原、そこに咲く草花、小さな街や港…。
刺繍で描いていた世界が目の前に広がるのですから、刺繍をしない私でも
ワクワクしてきます。そして、刺繍のモチーフが旅の一コマとリンクし、
それが一生の思い出になる事もありそう…などと勝手な想像をしています。
今月初めにはデンマークの首相 : Helle Schmidts女史が訪日しています。
日本のロボットと握手したり、高価なメロンに感心する一方で
首相自らデンマーク製品をアピールして来たそうです。今回の訪日で
実感した事を今後に生かして欲しいと願っています。が、まずは
日本でもデンマークのチーズやヨーグルトがもっと気軽に買えるように
になると良いな…と主婦の私はそんなささやかな事から期待している所です。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
日本を訪れたデンマークの首相Helleさん。高価なメロンにビックリした事でしょう。
(2014年3月3日 Berlingske
Business より )
イースターのディスプレイが美しいロイヤルコペンハーゲン本店。
観光名所Nyhavnは春の陽射しを楽しむ人々でいっぱいです。
(3月9日版 TV2 - 天気予報欄より)
花壇用にパンジーを購入しました。今しばらくは室内に飾って春を演出です。
【きょうのクロスステッチ Vol. 229】 by 岡村恭子
VOL.229 日曜日は週末?!それとも・・・。
torsdag den. 6 marts 2014
キッチンの壁に日本のカレンダーを掛け、その下にデンマークのを
重ね掛けしています。両方とも主に祝日をチェックするのに必要不可欠、
特にゴールデンウェークの頃には日本のカレンダーの赤い数字を眺めて
「今年は飛び石、大型連休!」などと言いながら、鮮やかな新緑の風景を
想像したりしています。その2種類のカレンダーを改めて眺めながら
「あらっ?!」…そういえば…と、ちょっと面白い事に気付きました。
日本のカレンダーは日曜日から一週間が始まるのに対して、
デンマークの方は月曜日からになっています。金、土、日曜日が文字通り
“ 週末” になっているのです。この方が一週間の計画が立て易いし、
週末の予定も書き込み易いという訳です。そう言われると月曜日スタートの方が
理に叶っているような気がしますが、如何でしょうか?
日曜日の起源は6日で天地創造を成し遂げた神様が7日目に休息したから、とか、
キリストの復活を祝うため毎週一回教会に行くようになったのが始まり等、
諸説が有るようですが、とにかく一週間という概念そのものも聖書の教えに
基づいている。それが世界基準になったということはキリスト云々よりも
一週間=7日、日曜日=休息日というローテーションが一年365日を区切る
のにも都合良く、人々の生活サイクルにピッタリ来たという事でしょう。
日本は1876年に、まず官庁が日曜日休日を導入し、その後、全国一斉に
いわゆる西洋式カレンダーに基づくようになったのだそうです。
それ迄は一週間という決まりも無く、一斉に休める日も決まっていなかったの
ですからカレンダーが普及して本当に良かった!
実はヨーロッパのカレンダーが月曜日から始まるようになったのも案外最近で、
1973年だそうです。理由はその方が効率的で仕事をし易いという簡単なものです。
もう一つ、デンマークのカレンダーには1~53まで一週間ごとにナンバーが
書き込まれています。第何週までに仕事仕上げる、という風に頻繁に使われています。
一方、日本のには小さく「大吉」などと書いてあって、カレンダーを見ながら
つい縁起を担いだりしてしまいますね。「本日はお日和もよろしくて…」と、
こんな挨拶が交わされるのも日本ならではです。古くからの暦が今も暮らしに
息づく日本、一貫した合理主義のデンマーク。カレンダーひとつを比較してみた
だけでも、それぞれのお国柄が出ていてなかなか興味深いものがあります。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
今年も小鳥の巣作りが始まりました。元気なヒナが孵りますように。
庭も日増しに春らしくなって来ています。
これがデンマークのカレンダー。月曜日の右端の数字で何週目なのかが分かります。
最後に街角スナップを一枚。
バス通りの道路標識がガムテープでぐるぐる巻きに…。こんな標識は不要です!
【きょうのクロスステッチ Vol. 228】 by 岡村恭子
VOL.228 早春の庭仕事
torsdag den. 27 februar 2014
ソチオリンピックも無事に終了し、土曜日から今年のカレンダーも
3ページ目になって、いよいよ春本番です。
デンマークの今冬は記録的な暖冬でした。特に2月は過去50年間で
最高の暖かさを記録、ポカポカ陽気に我が家の庭も春めいて、
柔らかい土の下から草花達の息づかいが聞こえて来そうな気配です。
さあ、今年は早めに春の庭仕事開始です。
冬の間に堆積した落ち葉を掃き出した花壇にはムスカリの芽がたーくさん!
ミニ菜園のオレガノ、レモングラス、タイムetc.元気に冬を越しました。
木々の芽吹きも例年より早いようです。
昨秋、キコリに伐採してもらった杉の木の周辺の手入れをしなければ…、
でも、その前に木枯らしでなぎ倒された竹薮の整備です。
何故なぎ倒されてしまったかというと、実はこの竹薮、数年前に枯れて
しまったのです。竹薮というのは50年に一度花を咲かせて、その後枯れて
しまうと聞いていましたが実際本当にそうでした。白い穂のような
ちょっと見ただけでは気づかない花というには地味すぎる花が咲いた後、
次第に竹薮全体の勢いが衰え、やがて寿命を閉じる様に枯れてしまったのです。
どうやら植えられてから50年経ってしまったらしい。
でも、葉の無い竹薮もそれはそれで簾のような風情が有るし、隣家との境でも
あるし、そのままにしていました。そうしてしばらく頑張って立っていてくれた
けれど、遂に力尽きた…という感じでとうとう斜めに傾いてしまったという訳です。
もはやこれまで。試しに一本引き抜くとスルスルと、いとも簡単に抜けます。
全部取ってしまうと空っぽになってしまうので、どうにか真っすぐに立って
いらる竹には、もうしばらく立っていてもらう事にしました。
さて、空き地になった場所に何を植えよう?…庭に植え替え可能な植木は無いか
探します。しばらくして「これなんかどう?」植え込みの奥の方に潜り込んでいた
家人が何か見つけたようです。どれどれ?…、おお、なかなか良いお見立て。
人の背丈程のライラックです。ライラックは成長が早いし夏の間柔らかい葉を
沢山つけてくれます。いつか花も咲くでしょう。
さっそく、植え替え作業です。大きなスコップで土を掘り返したっぷりの水を入れて
池の様になった所に掘り起こしたばかりのライラックの苗木を植えます。
しっかり根付いてくれます様に。
今年最初の庭仕事は上々の首尾で無事終了。お次は芝生の大掃除が待っています。
リンゴの枝払いもしなければ…春の庭仕事はエンドレスに続きます。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
これはジャパニーズチェリーという名の木です。淡ピンクの小さな花が沢山咲きました。
土の中から顔を出し始めたチューリップの芽。
お花屋さんの店先も春らしくなってきました。
【きょうのクロスステッチ Vol. 227】 by 岡村恭子
VOL.227 ビールにまつわるこぼれ話。
torsdag den. 16 februar 2014
先日、” Statistik “ と書かれた一通の封書が届きました。いわゆる世論調査です。
健康に関するアンケートでした。以前は幸福度に関するアンケート用紙が
届きました。アットランダムに対象者を選ぶという割には頻繁に私のところに
舞い込んできます。今回は国民(私はデンマーク国民ではないのに…)の
健康とその管理状態を把握するという主旨で8ページ程、○×式で質問に
答えて行きます。毎日の運動量、日々の移動手段、食事内容などに続いて
飲酒状況というのがありました。記載されているアルコールの種類、頻度と
摂取量などを○×で答えなさい、だなんて難しい。日によってお酒の種類も飲む量も
色々だし…と、苦笑しつつ、まあ平均的な所に○をしておきました。
デンマークの人は本当にビールが大好きです。フランス人は水のように
ワインを飲むと言いますが、デンマークではそれがビールです。
暑い夏には切れ味の良いさっぱり系、春先はまろやか系、といった具合に
種類も豊富です。地方に行けば自慢の地ビールが数えきれない程あります。
昼間からカフェで気軽にビールを飲むのもデンマークスタイルです。
家人のオフィスの近所には大手ビール会社Tuborg(ツボルグ)社所有の
敷地が有り、その一角に大きなビール瓶が風雨にさらされながら立っています。
周囲の風景とまったくとけ込んでいない!違和感100%の高さ約15mほどの
色あせた緑色のモニュメント…。でも、この一見滑稽にも見えるノッポの
ビール塔には、実はとても面白いエピソードがあります。
それは1888年のことでした。
その年コペンハーゲンのチボリで北欧産業博覧会を開催する事になり、
博覧会の目玉としてこのタワーが建設されることになったのだそうです。
キャップの部分が展望台になっていて水力を利用したポンプ式エレベーターを
設置したといいますから、汲み上げ式井戸のようなものだったのでしょうか。
とにかく連日大人気、大変な人出だったそうです。
今から126年も前にこのような奇抜なアイデアを実現したという所に
デンマーク人の精神的な大らかさを感じます。塔の入場料5オーレは何と!
ビールを飲んだら返金してくれるという、とってもお得なキャンペーン付きで、
ビールの売り込み作戦も大成功だったそうです。
もしかしてデンマーク人のビール好きはこの時に始まったのかも知れません。
今日も、“ 水代わりのビール “ が人々の喉を潤していることでしょう。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
エッフェル塔で世界を驚かせたParisの万博(1889年)より
ビール塔の方が一年先輩!と自慢している所は如何にもデニッシュユーモア。
これが現在のビール塔です。周囲の風景に全然とけ込んでいません!…が、そこがご愛嬌?
ビールはビンの方が美味しく感じます。
ゾウの栓抜きはジョージジャンセン社製、ビールを飲む時の必須アイテムです。
今朝の庭から。北欧に春の訪れを告げるエランティスの花が咲き始めています。
【きょうのクロスステッチ Vol. 226】 by 岡村恭子
VOL.226 カジュアルな お も て な し
torsdag den. 13 februar 2014
雪が雨に変わり、日ごとに日照時間が長くなり、
そして、庭のあちらこちらからエランティスやスノウドロップが
咲き始めました。冬から春へ…明るい季節の訪れ間近です。
今年もまたシャベル片手の毎日が始まります。でも、その前に…。
先日は、久しぶりに大人数で食卓を囲む機会がありました。
今回は娘の友達ばかり6~7人、若い人達ばかりですから
とにかくお腹いっぱいになるように、さあ何をご馳走しよう?…
お料理の本のグラビアページに、あれも美味しそう、これも洒落ているね!
真冬のバーベキューというのは如何?という突飛な意見も飛び出す中
散々アレコレ迷った挙げ句、結局我が家の定番メニューが一番!
ということに落ち着きました。定番と言えば、そうです。
これさえ有れば鬼に金棒?!の家人が作る特製焼豚です。
(Vol.50「雨降りは焼豚日和」 参照)
その脇を固めるべく、コロッケ、おにぎり、ニシンの南蛮漬け、
そして今回は若い人ということで、スパゲッティーも喜ばれるかな?
あとは娘の作る特製サラダにデザートはこれも定番のシュークリームと
チョコレートケーキ。全体的に普段の食事とあまり変わらないカジュアルな
線でまとまりました。作り慣れているお料理は材料を整える時から安心です。
パーティー前日は下ごしらえの日です。2晩タレに浸けておいた焼豚を
家人が焼き始める横で、私と娘はケーキ作りスタートです。シュークリームも
チョコレートケーキも仕上げ部分を残して地下の冷蔵庫に保存します。
手でつまめるミニコロッケはデンマークの人に人気です。ジャガ芋が主食の国
なのにコロッケなど作った事の無い人がほとんどなのです。
今回は30個、あらかじめ油で揚げておきます。ニシンの南蛮漬けも冷蔵庫で
一晩寝かせます。こうして、前日はお料理三昧で日が暮れました。
さて、当日。朝からケーキの仕上げ、焼豚の仕上げ、サラダとおにぎりを作り、
スパゲッティーを仕込み、最後に熱々の油でコロッケをサッと揚げ直して完成です。
玄関で友達を迎える娘の声がします。
さあさあ、みんなで美味しく食べましょう。テーブルに並べられたお料理を
若い食欲が気持ち良いくらい次々と平らげてくれます。
夕食後は煖炉を囲みギターと歌とおしゃべりで賑やかに夜が更けてゆきました。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
早春の花スノウドロップが咲き始めました。
我が家風「お も て な し」風景
デザートのケーキ2種類。
北欧でも一年中苺が買える様になり嬉しいような季節感の無いような…。
【きょうのクロスステッチ Vol. 225】 by 岡村恭子
VOL.225 アネモネとプリムラ
torsdag den. 6 februar 2014
2月になりました。まだまだ寒い北欧ですが陽射しが日増しに明るく
なってきて嬉しいな…という今日この頃です。
お花屋さんの店先にも早春の花が並び始めました。
野菜や果物に「旬のモノ」があるように、花にも夫々の季節ならではのもの
があります。例えば…バラなどは美しいけれど一年中有るし、チューリップも
クリスマス前から幅を利かせていてどうも新鮮味にかける。それよりも今頃なら、
クロッカスやムスカリ、ヒヤシンスなどの小さな鉢植えが店先に行儀よく並んで
いるのを見かけると、ああ、もうすぐ春!と嬉しくります。正に “ 旬のモノ “ と
いう感じです。そうして手袋をした手に小さな花の包みを持って帰ってくるのも
気分が春めいて良いものです。
先日は家人が小さな花束を持って帰宅しました。
無造作に手渡された包みの中から出て来たのは、今が ” 旬 “ のアネモネです。
今朝切ったばかり!という感じの堅い蕾が1、2、3…全部で40本も!
ギュッと固まったように束ねられていたのを、たっぷりの水に投げ入れてあげたら、
それまできつく束になっていた茎達が水中で一度に解き放たれて気持ち良さそうです。
一生懸命水を飲んでいる様に見えます。
花の種類や色によって花瓶をアレコレと選ぶのも楽しみです。大抵の場合なるべく
開口部の広いもの、たっぷり水が入りそうなカタチが好ましいのですが、
たまにガーベラのような茎の長い花の時にはタテ長で口の部分が狭くないと
倒れてしまう。そんな時のために私は清涼飲料水やバルサミコなどが入っていた
きれいな色のガラス瓶を捨てずにとっておきます。
大きめの枝付き花を生ける時にはシャンパンクーラーも花瓶がわりに登場します。
小さめのブリキの如雨露などもなかなか便利なアイテムです。
あくまでも主役は花なんだから…というのは半分言い訳。でもとにかく、
器は別に高価な物など必要無いし、なるべく控えめなモノが好ましいというのが
私の考えです。
今回のアネモネは数年前に骨董市で見つけたギヤマンの花瓶に生けました。
ポッテリと金魚鉢のような厚手ガラスには気泡が入っていて、淵と取っ手は鮮やか
なブルーです。濃い色合いのアネモネにとてもお似合いです。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
窓辺で越冬中のゼラニウムに花が咲きました!うれしいな。
春を呼ぶ花アネモネ、素朴なガラスの花瓶がお似合いです。
鉢植えのプリムラはバスケットに入れて…。暖かくなったら庭の隅に植えてあげます。
まるでお花屋さんの店先の様に華やいで…
【きょうのクロスステッチ Vol. 224】 by 岡村恭子
VOL.224 Paris Tokyo Copenhagen それぞれの朝
torsdag den. 30 januar 2014
週末のパリでは面白いほど誰も彼もがバットのように長いバケットを
小脇に抱えている、とパリから戻ったばかりの娘が笑いながら言いました。
フランスでは週末はゆっくりと時間をかけてブランチが常識だそうです。
家族でテーブルを囲み、昼間から暖かいご馳走を食べるそうです。
朝からパン屋さんに行列ができ、片手にバケット、片手に愛犬、その上
お惣菜屋さんで出来立てのおかずも買って両手いっぱいのまま、のんびり
立ち話をしている…というような光景があちこちで見られるそうです。
デンマークの人も週末はパン屋さんで焼きたてのパンを買い、
珈琲を湧かしてゆっくりと遅い朝食を楽しみますが、皆がバケットを
抱えているというフランス程ではありません。
さて、日本の週末の朝はどんなかな?…と身内に聞けば、
せっかくの週末だからこそ寝坊したい人、早朝からゴルフに行く人、
友達とショッピングに行く人…夫々の計画が有るし…皆でゆっくりなど
していられない。と、そんな声が聞こえて来そうです。
我が家はというと、家人は仕事場に行かず自宅で仕事をする日がほとんどなので、
何だか毎日が日曜日のような感じです。
アイデアが湧くと夜中でも仕事を始めてしまいます。好きな時間に起きて、
お腹の空いた時がご飯時です。そんな訳で、殊更週末だからと特別なことは
無いのですが、一つだけ特別な事を挙げるとすれば、毎朝欠かさず絞り立ての
オレンジジュースというのがあります。何事も三日坊主の私が結婚以来
ずっと続けて来た唯一無二の” 長続き記録 “ でもあります。
野菜嫌い、フルーツも余程美味しくないと食べようとしない家人の
ビタミン補給にと始めてから、もう30年になるなんて自分でもビックリ!
365×30×2=21,900。作らなかった日などを差し引いても2万個近く。
我ながらアッ!と驚くオレンジ消費量です。
これだけビタミンCを補給してきたのですから、それなりの効果は出ているはずだ
と思うのですが、ジュースを摂取しなかった場合との比較が出来ないので
その効果の程が分からない。返すがえす残念です。私も一緒に飲んでいたら美容面で
もう少し何とかなっていたのだろうか?と、そちらも今頃になって後悔しています。
今では起き抜けのフレッシュジュースが無いと作る方も飲む方も不安になるほど、
すっかり習慣になり、そういう意味では少しは効果はあったかな?と思っています。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
コペンハーゲンのパン屋さんにも美味しそうなパンが沢山!
パンケーキや、ポーチドエッグも我が家の朝食の常連メニューです。
(ポーチドエッグは熱湯に塩少々、お酢大さじ2程入れて作ると白身が広がらず丸く出来ます。)
一年中フレッシュなバレンシアオレンジが手軽に買えるので大助かり。
【きょうのクロスステッチ Vol. 223】 by 岡村恭子
VOL.223 いつも何処かで朝が始まっている。
torsdag den. 23 januar 2014
先週までの “ 暖かい冬 “ はもう何処にも見当たりません。
ようやく “ 北欧の冬 “ らしくなりました。やっぱり冬はこうでなくっちゃ!
完全防寒スタイルで歩きながら自分に言い聞かせています。
今頃南半球は暑いんだろうなあ。そう言えばこの間はロシアに隕石が落下して
大騒ぎになったなあ。などと…何の脈絡も無く思い出したついでに
調べてみたら去年の2月15日とありました。つい先日の事のように
思っていたてれど 、もうすぐ丸一年になるのですね。
暦をグルグルと逆回転させて、当日のコペンハーゲンはどんな日だったのか?
自分のブログを開いてみると、丁度その日、私は暢気にNyhavnに散歩に
出かけています。凍った運河の上に青い空が広がり…いかにも平穏な写真が
載っています。同じ頃、小惑星が地球に向かって突進していたんだと思うと
不思議な気持ちです。途方も無く広い宇宙と私達の暮らす地球を想像して、
ちょっぴり神秘的な気持ちになります。
カムチャッカの若者がキリンの夢を見ている時、
メキシコの娘は朝もやの中でバスを待っている。
ニューヨークの少女がほほえみを浮かべながら寝返りをうつとき、
ローマの少年は柱頭を染める朝日にウィンクする。
この地球ではいつもどこかで朝がはじまっている。
谷川俊太郎さんの詩です。
こんな風に想像を膨らますと明るい気持ちになって元気が出ます。
真冬のコペンハーゲンで暖かいお茶にホッとする時、
シドニーの海岸では子供達が水しぶきを上げている…なんて、ね。
真冬の私のお気に入り散策コース、Ny Carlsberg 美術館(www.glyptoteket.dk)
には古代エジプト、ギリシャ彫刻、メソポタミア文明の発掘品なども多く、
行く度に、曽ての人々の逞しい想像力と表現力に感動します。
中でも古代エジプト人の手による動物の姿をした想像神たちのフィギュアは
何処かユーモラスな表情をしていて思わず微笑んでしまいます。
とにかく、太陽を神と崇める彼等にとって、輝く太陽と共に迎える朝がどれほど
神聖なものだったのかは想像に難く有りません。
そうして、数々の彫刻や発掘された品々を鑑賞していると、何千年も昔の人々の方が、
現代の私達よりも、ずーっと豊かな感性を持っていたのだと思えて来ます。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
Ny Carlsberg美術館にあるエジプト文明の展示室の様子。
緑色の河馬、アクビをしているようなポーズが可愛らしい。
すくっと立つ鳥や赤ちゃんを抱いて買い物かごを下げた猫?!