2013年1月~3月

【きょうのクロスステッチ Vol. 171】 by 岡村恭子


VOL.171 謹賀新年 2013

torsdag den. 1 januar 2013


デンマークは雪の無い、暖かい新年を迎えています。
大晦日はあいにくの小雨模様でしたが、雨雲も霞んでしまうくらいに
たくさんの花火が上がり、毎年の事ながら華やかだけれど少々騒がしく、
そしてあっけない年越しでした。
花火の後は全国的にシャンパンの呑み過ぎで二日酔い、元旦は街中が
シーンと静まり返ります。
おまけに大型連休になった日本のお正月とは対照的に2日から平日、
新年の仕事始めです。さあ、今年も元気にスタートです。

私も2013年最初の「きょうのクロスステッチ」を作成しなくては!
…というわけで、さっそくストロイエに出かけましたが、その日も雨。
北海道で-30℃という時に、コペンハーゲンで+5℃というのも普通では
ないなあ、と傘の下で首を傾げてしまいます。今週末にはいつもの
寒さが戻って来ると言う天気予報です。氷点下の日が戻って来ます。
嬉しいようなガッカリのような…、今のうちに雨を楽しんでおきましょう。

ストロイエでは年明けのバーゲンセールがスタートし、どのお店も
人目を惹こうと必至の様子です。初売りで福袋がものの1分も
しないうちに完売になったという銀座のデパートに比べれば
コペンハーゲンの “ 初売り “ はとても静か、とはいうものの 『50%OFF』と
いう文字の誘惑には勝てません。原稿を書く為の散策だったはずなのに
犬も歩けば何とやら… です。帰宅時にはブーツを抱えていました。

そぼ降る雨で国会議事堂の塔も霞んでいます。
2年以上かけて改装されたした歩道が雨に洗われてきれいです。
大きな傘を広げてクレープ売りが客寄せの声を上げています。
久しぶりに皆さまにお届けする写真を撮影していたら、
いつもの風景がとても新鮮で、見知らぬ街を旅行している気分になりました。

こうして始まった2013年、今年もコペンハーゲンから楽しいこぼれ話を
お届けしようと思います。どうぞお楽しみに!

岡村 恭子
http://www.copenhagensmile.weebly.com/




デンマークのニューイヤーに欠かせないKransekageというマジパンの焼き菓子、
写真は娘のお手製。

年明けのバーゲンセールスタート!です。

雨でみんな慌てていますね。石畳がきれいです。

暖冬と長雨のお陰で?屋外カフェに設えた乾燥藁から緑の新芽が!!

【きょうのクロスステッチ Vol. 172】 by 岡村恭子


VOL.172 おおさむ こさむ コペンハーゲン

torsdag den. 17 januar 2013


「 もうじき寒波がやって来る!」と言っていた天気予報が的中です。

暖冬の年明けから一転、只今北欧はすっぽりと寒気団に包まれ、
ここ数日は日中でも氷点下の日が続いています。
北風の中に立つと体感気温は −15℃。カキン!とフローズンですが、
久しぶりの冬らしい天気にホッとひと安心です。
危うく発芽しそうになっていた庭の木々も首をすぼめて冬ごもり、
庭はしんと静まり返っています。

どんなに寒くても日照時間は目に見えて長くなって来ていますから
それだけでとっても嬉しい。
窓辺に置いたヒヤシンスも買った時にはウサギの耳の様な小さな
葉だけだったのに、いつの間にかスラリと伸びて、きれいな花を
咲かせてくれました。明るい陽射しを受けてどんどん大きくなり、
ついには花頭を支えきれなくなってしまったので、切り花にしてテーブルに
置きました。只今、部屋中あま〜い香りがしています。
うっとりするような早春の香りです。

カラリと晴れて気持ち良い昼下がりは買い物がてら散歩です。
防寒スタイルで着膨れている上に凍結した個所に要注意なので
冬の散歩は俯き加減です。その日も足元に注意しながら歩いて公園に
差し掛かった時のことです。
突然、頭上でバサバサバサーッという音です。思わず見上げると、
夥しい数の鳩が旋回している、と思った次の瞬間には私の周辺に急降下、
ヒッチコックの映画「バード」みたいだ、と思う間もなく、瞬く間に
また空高く舞い上がって行きました。その更に上空ではカモメの
一群れが、クワックワッと鳴きながら白い翼を広げ思い思いに大きく輪を描いて
飛んでいます。インクで塗りつぶしたように一点の曇りも無い青空の下、
本当に気持ち良さそうです。
ひとしきり旋回した後、鳩もカモメも一斉にフワーッと舞い上がる様に
上昇したと思ったら、次の瞬間にはアパートの屋根に整列、全員羽根を休めて
日光浴です。
よく見ると、上段はカモメが一列に並び、鳩は一段低い場所に並んでいるでは
有りませんか!どうやら日向ボッコをするのにも棲み分けのルールがあるようです。
感心しつつ、なんだか人間の世界を見るようで笑ってしまいました。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/



ヒヤシンスの甘い香りが漂います。

公園も雪化粧。

カモメとハトが乱れ飛んでいました。

アパートの屋根で仲良く日光浴。気持ち良さそうです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 173】 by 岡村恭子


VOL.173 快適な毎日に油断大敵ハプニング?

torsdag den. 24 januar 2013


氷点下の日が続いています。
セントラルヒーテイングの調節を” 強 “ にしています。
普段何気なく使っていますが、地域暖房(温湯管が水道と同様に各家庭に
配管されている。冬は80℃くらいの熱湯。)ですから燃料の切れる心配も
火事の心配も無い。屋内はどこも一定の温度でポカポカしているので
外の寒さが気にならない。玄関に入った途端に暖かい空気に包まれると、
ほんわかと幸せになります。

そんな、安心、快適、便利と3拍子揃ったデンマークの冬の暮らしに
感謝していた矢先、友人から携帯に電話です。
我が家の電話が不通になっているというのです。まさか…と言いつつ、
試しに先方にかけてみたら何の問題も無く通じる。ところが…です。
友人からの電話が受信できないのです。どうやら電話が一方通行になって
しまったようです。いっその事、不通になったら教えてもらうまでも
なく気がついたでしょうに、一方通行だなんて一体どういうことなのか?
首を傾げるばかりですが、しかし、とにかく問い合わせをしなくては!
それも電話の故障を苦手な携帯電話を使って電話局に説明しなくては
ならないのですから、考えただけでもややこしいです。
(VOL.105 「ドラエもんの『ほんやくこんにゃく』」参照)

結局、今回も娘頼みで問い合せてもらったところ、あっけないほど
簡単に問題解決しました。要するに工事の不始末から生じたシステムトラブル
だったようで、他からも問い合わせが有るらしく電話局では承知の様子
だったそうです。それなら前もって知らせてくれても良さそうなものを、と
思うのは私だけなのか?何処からも不満の声は聞こえて来ません。
もしも、気づかずにいたら未だに一方通行ということなのかなあ?
長年デンマークに暮らして未だに不思議に思うのはこんな時です。
なんとなくソフトランディング。良く言えば大人な社会と言えそうですが、
しかし、責任の所在がうやむやなのです。
この調子では何時何時セントラルヒーティングが停止するとも限らない。
そんな事を思ったら急に心配になって来ました。
春がくるまでどうぞ安泰ですありますように。



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/


ニューハウンの運河にも氷が張っています。

体感気温マイナス15℃でもサイクリスト健在、しかし寒そう!!

お花屋さんの店先だけは春のようです。

赤ちゃんも完全防寒スタイルです。

【きょうのクロスステッチ Vol. 174】 by 岡村恭子


VOL.174 はらペコにクロワッサン!

torsdag den. 31 januar 2013


ふと、気づけばもう2月。
ステッチハウスのページには一足早く春のコレクションが登場して
とてもきれい!見ているだけでも気持ちが明るくなります。
翻って、年が開けてから何もしない内に最初の月が過ぎてしまった我が身を
反省、今からでも遅くはない!と一大発起して?何をしたかと申しますと、
家人の仕事部屋の隅に放置していた足踏み健康器を引っ張りだしました。
ペダルを踏んでオイッチニ、オイッチニ…100回、翌日200回。
運動不足の身体を動かしてみたら、何となく頭もスッキリするようです。
身体を動かすと脳みそも活性化する、そして運動したら、ほらね、
お腹も空いてきた、という訳で何か簡単で美味しいおやつを食べたく
なりました。出来ればホンワカと温かい…そうだ!クロワッサンがいい、
それも、とろ~りととろけるチョコレート入りの…。
たまに「絶対にこれが食べたい!」という決定版が浮かび上がると、
それ以外は考えられなくなるという事は有りませんか?
この時の私はまさにそういう閃きに支配されてしまいました。

近所に “ Irma “ という、日本の北欧ファンの間でも少し知られた
スーパーがあります。オーガニックな食材をはじめ、他のスーパーでは
手に入らないモノを置いているので重宝していますが、そのIrmaで
クロワッサンの生地が買えるのです。本場フランスはDanone社製です。
丸い筒を捻るようにして開けると、ポンッ!と弾けるような音と共に
クロワッサンの生地が見る見る膨張しながら出て来ます。
ムクムクという感じで出て来る、この瞬間がすごく面白い!
生地は丁度良いサイズに切れ目が入って全部で6個分、筒から出して
天板に並べ、クルクルとロールして200℃のオーブンで12分、
たったこれだけで温かい焼きたてクロワッサンの完成です。
毎回、筒からポンッ!と出すたびに、一体どうしたらこんな狭い所に
生地を押し込められるのだろう?と不思議ですが、
イタリアのパスタと同様『必要は発明の母』という事なのかな?
ご機嫌で焼きたてを頬張りながら、フランス人の「美味しい発明」に
Merci beaucoup !



岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/



これがクロワッサンの生地です。青い箱はチョコレート。

このように筒をねじる様にして開けると、中から生地がムクムクと…。

中にチョコレートを刻んでいれてオーブンで12分。チョコレートクロワッサンの完成です。

陽射しが室内に差し込む様になって来ました。明るいだけでとても嬉しい。

【きょうのクロスステッチ Vol. 175】 by 岡村恭子

VOL.175 赤ちゃんバンザイ!福祉の国デンマークの子育て支援

torsdag den. 7 februar 2013


デンマークでは ウィークデーに乳母車を引いて散歩している
カップルの姿を良く見かけます。週末ならともかく例えば月曜日の
昼下がりに、そんなのんびりとしている場合か?!と叱られてしまい
そうですが、ここは世界に名だたる福祉国家デンマークです。
親になったご褒美に大手を振って散歩が出来てしまうわけが
ちゃんと有るのです。それは夫婦共に取れる産休システム、
その内容を聞くと出産する身でなくても「うらやましい!」と
思わず溜息がもれます。
まずは育児を通して親としての自覚を養うべし、というわけで、
出産に際して赤ちゃんの父親である夫も最低2週間の産休を取ります。
育児休暇の取り方は職場や個人的シチュエーションで異なるものの、
夫婦で合計52週間までは給料のほぼ同額が支給されると聞きました。
もちろんその間も職場のポストは確保されていますから、
復帰後の不安などとは無縁です。大抵は夫婦共に出産の間際まで働き、
産後にたっぷりと休暇を取るようですが、働き盛りの男性の中には
「育児よりも仕事!」と内心はやる気持ちを押さえての産休だったりする人も
いると聞き、私は妙に納得したりしています。

去年のことです。「イェニー達が赤ちゃんを連れて3週間のバカンスよ。」
娘が何気なく親友夫婦のことを話す内容にちょっと驚きました。
聞けば、生後半年の赤ちゃんを連れて育児休暇を利用しての旅行だとか。
出産で疲れた身体を癒す旅に出るのが昨今の若いカップルの流行だそうです。
充分英気を養えば育児と仕事を両立して行く意欲もみなぎってくると
いうものでしょう。今ではイェニー夫婦は子供を保育園に預けて職場に復帰、
二人でローテーションを組んで上手に送り迎えをしているそうです。

デンマークでは子供は国の宝物という考えが浸透しています。
生まれてくる子供達は平等の権利を持っているという理念の元で、
育児&教育福祉が実施されています。そんなデンマークを見習って
日本でも夫婦共に育児休暇を取れるようにすれば、少子化の悩みも解消する
かもしれないなあ…などと、そう簡単に言えるような事ではないですね。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





子供が生まれたらマイホームという夢はデンマークでも同じです。



寒い冬も暑い夏も 「イクメンパパ 」が大活躍。







イェニーに抱かれたフェレデリック君、大きなお目目がかわいい!
    

【きょうのクロスステッチ Vol. 176】 by 岡村恭子


VOL.176 ぼくの名前はFastelavn

torsdag den. 14 februar 2013


クリスマスも新年も今はもう懐かしい思い出となり、
イースターホリデーまでもまだまだ遠い。おまけに外は氷点下、
北欧の2月はちょっぴり退屈な辛抱時期です。
朝でもライトを点けないと真っ暗な通学路を通う子供達に、
この辺でお楽しみを!というわけで、2月の第二週は小学校の冬休み。
学校から解放されてはしゃぐ子供達に楽しいイベントが待っています。
それがFastelavnなのです。
  ♪Fastelavn(ファストゥラゥン) それはぼくのこと♪
   ♪大好きなのはクリームたっぷりファストゥラウンパン
    ♪パンをくれなきゃ さあ大変!
     ♪ぼくがこれから大あばれー♪
ファストゥラゥンの歌を歌う元気な子供達の歌声が聞こえてくるようです。

思い思いに仮装した子供達が集い、みんなで歌って踊ってゲームして、
そしてクライマックスはお菓子の入った樽割り競争です。
昔は猫を入れた樽を割って中の猫を追い出した(=冬を追い出す意)そうです。
今は猫の代わりにお菓子が入っているので子供達は喜び、猫も多助かり?です。

仮装と言えば、女の子の一番人気は昔も今もお姫さまですが、
男の子の憧れヒーローは時代を反映してどんどん変わる。
スーパーマンにバットマン…今年はスパイダーマンが一番人気のようでした。
顔までスッポリと蜘蛛の巣模様の赤いマスクで覆われた衣装は
どう見ても愛らしいとは言いがたい。女の子が憧れるような王子様になりたいと
いう子がいないのはどうしたわけでしょう?その辺のことを
児童心理学的に分析してみたら面白いかもしれないですね。

さて、子供達が冬休みを楽しんでいる間も私は雪かきに追われる日々です。
昨年は雪らしい雪も降らずに春を迎えたのとは対照的に、今年は雪の日が多く
いつもならそろそろ顔を出し始める早春の花達も雪の下でシーンと静かです。
でもね、この雪が溶け始めたら一斉に咲き始めるということを
私はちゃんとお見通しなのです。 それは明るい季節へのファンファーレ。
その時が来るのを楽しみに、今はせっせと雪かき!雪かき!がんばります。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





ミツバチマーヤもマリオもエンジェルも、みんな可愛らしい!







バイオリンに合わせて歌って踊って…。






クライマックスは樽わり競争です。どの樽が一番に割れるかな?

【きょうのクロスステッチ Vol. 177】 by 岡村恭子


VOL.177 手の平サイズの植物図鑑

torsdag den. 21 februar 2013


某日。
一日降り続いた雨で雪が流され、黒い土がむき出しになった庭は
枯れた木立の中でいかにも寒々しく感じられます。
白い雪のお布団をかぶっていた方が明るくて良かったなあ、と
思いながら、長靴を履いて庭をひと回りしてみました。
そうしたら…?!遠目には 黒く味気ない土の下から出てきた!出てきた!
早春を告げる花の先頭バッター、ぴゅんと長い葉っぱのスノウドロップと
黄緑色の額が襟巻きのようなエランティスです。
そういえばお花屋さんの店先にも鉢植えの水仙やクロッカスと一緒に
ムスカリやエランティスが並んでいました。
ステッチハウスのページにも早春の花がたくさん登場しましたね。
黄色い色は北欧に春を呼ぶ色です。見ているだけで何だかうれしくなります。

我が家の敷地は約900㎡、裏庭も含めると結構な広さになります。
庭の手入れはエンドレス、出来る事から順番にして行くことが基本と
心得ました。まずは長い冬の間に堆積した落ち葉等の片付けから始まります。
明るい季節になると朝から庭を一周して、キッチンに戻った時には
土まみれの黒い指先に袋一杯の雑草を抱えているというのが日課のように
なりました。この家の歴代オーナーは専属の庭師を雇い、のんびり暮らし
ていたそうですが、もちろん私達にそんな贅沢は許されません!
主婦兼庭師の私は、土いじりの最中に花の新芽を発見してワクワクしたり、
手塩にかけた苗木を枯らしてガッカリしたり、一喜一憂の繰り返しです。
庭には未だに名前も知らずにいる植物もたくさん有りますし、
初夏に群生して咲く可憐なルピナスや西洋オダマキも、風で飛んで来た種が
根付いて、我が家の庭で咲いてくれる様になったのです。
雑草を取りながら「何を指して雑草というのかしら?」と、そんな事も思います。

先日散歩がてら出かけたミュージアムのショップで素敵なものを見つけました。
オールドローズ、ベリー、ハーブなどのイラストが描かれた*ポストカードです。
8枚一組、植物の名前が明記された手の平サイズの植物図鑑といった感じです。
美しいイラストはそのまま刺繍のモチーフにもなりそうだと思いましたが、
いかがでしょうか?  *  http://www.koustrup.info/kort.html
庭仕事が始まるまでの暫くの間、ミュージアムはちょっぴり豊かな気分を
味わえる手軽な私の散策コースなのです。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





花屋さんの店先に並んだムスカリ、クロッカス、エランティスetc.
早春の気配が漂います。







私が選んだのは「SNAPSに入れるハーブ」シリーズ。
(SNAPS=北欧に古くから伝わるアルコール度40%の強いお酒)




【きょうのクロスステッチ Vol. 178】 by 岡村恭子


VOL.178 着ぶくれ兵隊さん

torsdag den. 28 februar 2013


ストロイエ近辺を歩いていると衛兵の行進に出会うことがあります。

兵舎のあるローゼンボー城から王宮のアマリエンボー城まで、
交通量の多いバス通りの、それも車道をお巡りさんの護衛付きで
ゆっくりと進む。バスも車も行進の後ろをノロノロ運転 、道路は
忽ち渋滞です。それでも誰も文句なんて言いません。
それどころか、アンデルセンのお話から抜け出たような兵隊さんの行進に
誰もが微笑み返してしまいます。
茶柱が立つと縁起が良いと言うけれど、私はたまたまこの衛兵の行進に
出会うとラッキー!…何か良い事が有りそうな気がして嬉しくなります。

先日も丁度王立劇場の前を通りかかった時でした。
背後から楽隊の音が聞こえて来ます。時計の針は12時5分前、
衛兵交代まであと5分です。
寒空の下でお城を守っている当番の兵隊さんが、遠くから聞こえて来る
楽隊の音に「もう少しの辛抱」と、仲間の到着を待ちわびている事でしょう。

そういえば、いつだったか女王様主催の晩餐会で、国賓歓迎の隊列を
組んでいた衛兵の一人が貧血を起こし、糸が切れた操り人形の様に
グニャリと座り込んでしまった、なんていうことがありました。
真夏の暑い日も大変です。T-シャツ姿の観光客がカメラを向ける間も
制服の下で汗をかきながらジッと我慢ですから、いやはや結構辛い仕事です。

何につけても自由過ぎるほど自由な国デンマークです。
若いうちにロイヤルガードに入隊して忍耐力を養うのも良いかもしれない…。
いやいや、お好みならもっと厳しい規律の職業がありました!
ミリタリー(国防軍)です。小国ながらデンマークのミリタリーは
必要とあらば国連平和維持軍として最前線に出向くという、非常に厳しい任務を
背負っています。
同じ兵隊さんでもロイヤルガードは女王様のお膝元デンマークで
平和の象徴として貢献しているわけで、ミリタリーとは比較になりませんが、
毎日行われる衛兵交代のセレモニーは、ヨーロッパで最も歴史のある王国だと
いうプライドが有ればこそ。寒さも暑さも我慢!我慢!!なのです。


岡村 恭子
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冬の " 着ぶくれ兵隊さん " の行進です。



衛兵の行進の後ろをノロノロと続くバスと車。



庭に咲き始めたエランティス。



窓辺から見る庭も春めいてきました。

【きょうのクロスステッチ Vol. 179】 by 岡村恭子


VOL.179 暗い季節にサヨウナラ

torsdag den. 7 marts 2013


3月の声を聞いた途端にパーッと明るくなったような気がします。
カーテン越しの陽射しに目覚めも爽やかです。
朝のうちは霜で真っ白な庭の芝生も、陽が高くなるにつれてじんわりと
緑色に蘇り、水分をたっぷり含んで柔らかく庭を彩ります。
エランティスは今を盛りに花びらをいっぱいに広げ、
クロッカスやチューリップの芽も天に向かって伸び始めました。
木々の枝にも新芽の息づかいを感じます。
一枚ずつページを開く様に、日ごと春の気配が濃厚になってきて
長かった暗い季節にサヨウナラ! … です。
これから夏至まではどんどん明るくなる、暖かくなる!
自然に人々の表情も明るくなります。

デンマークの人は少しくらい寒くたって晴れてさえいれば日光浴です。
風邪を引かない様にブランケットに包まって、ひたすらお陽さまに顔を
向けてじっとしている姿はまるでイグアナのようだなあ…。
デンマークに来たばかりの頃は、そんな姿を見かけるたびに半分呆れて
いた私も、今ではすっかりイグアナ化しているのですから、
やっぱりお陽さまの力は偉大なのです。
しかし、今は春の庭仕事が山積みです。日向ボッコをしている暇はありません。

明るくなったとは言うものの寒暖計の針はまだ一桁ですから、
まずは暖かい日だまりを選んで行動開始です。
鉄製のクシのような用具で、芝生の上からぐいぐいと土面を引っ掻く様に
扱くと芝生の間に密集しているコケや、冬の間に堆積した落ち葉が
気持ちよい程たくさん取れます。
芝生掃除に飽きたら、花壇の観察、植木の枝剪定、と気の向くままに
春の陽射しの中で動き回ります。
庭仕事の最中に、新顔の野良猫がやって来て帚の先に戯れついてきたり、
しじゅうからのリズミカルなさえずりが青い空に響いたり、
学校帰りの子供達の弾んだ声も垣根越しに聞こえて来たりして、
暗い季節にサヨウナラをした途端に、人間も動物達もみーんな!活動開始と
いう感じです。私もこれから少しずつ庭の様子をお伝えして行くのを
楽しみにしています。


岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





庭はエランティスの花盛りとなりました。



衛兵の行進も冬のオーバーを脱ぎ捨てて軽やかです。
(先週の写真と比べてみてください。)



カフェも外で憩う人で賑わい始めました。



これで芝生を掃除します。

【きょうのクロスステッチ Vol. 180】 by 岡村恭子


VOL.180 雪が降る日はお菓子を焼こう!

torsdag den. 14 marts 2013


朝起きたら庭が一面の銀世界になっていてビックリ!
前回「春が来た!」と喜んだのも束の間、このところ日中でも氷点下、
朝晩はマイナス10℃という激寒の日が続き、今日はとうとう雪になって
しまいました。寒の戻りに驚いてエランティスも花びらを閉じて、
真っ白い雪の中で黄色の蕾が震えています。けれど、雪の切れ目に
のぞかせる晴れ間には柔らかい春の暖かさを感じます。
きっと、この雪は名残り雪、こんな日にはあり合わせの材料で作る焼き菓子を
作ったりしてのんびりと過ごすに限ります。

*******************************************************************************************
☆ニンジンケーキ☆

[材料]  サラダ油    150cc
      グラニュー糖  100g
      卵         3個
      小麦粉     200g
      ベーキングパウダー 小さじ3
      レーズン    100g
      ニンジン    100g
      バニラエッセンス 適宜
      シナモン    小さじ1
[作り方]
1) 大きめのボールに分量のサラダ油と卵を入れ、泡立てる要領で撹拌良く混ぜる。
2) シナモン、レーズン、バニラエッセンス、を加え、更に良く撹拌。
3) あらかじめベーキングパウダーと一緒に振るっておいた小麦粉を2に加えて
  全体を良く合わせ、スライサーで下ろしたニンジンも加えて全体を良く混ぜる。
4) 19㎝×21㎝くらいのバットにベーキングペーパーを敷く。
5) バットに材料を入れ、平らにして170℃で約30分、表面がきつね色になり
  串を刺して粉がついて来なければ完成。
6) 完全に冷めてからパウダーシュガーを少量の水に溶かしたグラサージュを
  塗り付ける。

バターを使わず低カロリーで栄養豊富なおやつの完成です。
たくさん作って冷凍しておくのもおすすめです。お試し下さい。br>

岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/





春の雪にビックリして花びらを閉じてしまったエランティス。



ショーウィンドウは一足先に春到来です。(Royal Copenhagenのイースターディスプレイ)







簡単で美味しいニンジンケーキです。ニンジンはきんぴらの様にささがきにしてもOK。

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