2012年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 146】 by 岡村恭子
VOL.146 デンマークの夏休み!みんなで休めばコワクない?!
torsdag den. 5 july 2012
デンマークはそろそろ夏休みモードです。
人々は3週間の夏期休暇に有給休暇を上手く組み合わせて、
だいたい一ヶ月くらいの夏休みを取ります。
政治家も警察官も例外ではありません。みんな順番に正々堂々と休みます。
その間はどうするのか?というと、国会は文字通りのお休みですが、
警察など公務員には補助職員が常に待機しているから大丈夫!
職場をより多くの人でシェアすることで失業対策にもなり、
一石二鳥というわけです。
娘がまだ小学生だった頃です。
「今日は担任の先生が” 講習会 “ だったから臨時の先生だった」と
いう日が頻繁にあった時期がありました。丁度インターネットが
教育の現場に登場し始めた頃で、PCを使いこなしてゆく事が必要不可欠と
みた教育省が全国の先生を対象にインターネット教室を開いたのです。
勤務時間中=授業中に、先生がインターネット教室に出かけてしまいます。
そういう時は臨時の先生がやってきますが、臨時ですから、まあ適当に
なってしまう。半分遊び時間のようになるから子供達は大喜びです。
そうこうしているうちに教室にPCが導入され、講習を終えた先生が
得意満面で子供達を指導する時には、先生自身のスキルもグンと上がり、
それはとりもなおさず国全体の水準向上に繋がる…、という順番です。
インターネット教室に通うのも立派な仕事。残業の無い国ですから先生は
授業中に出かけるという事になります。
これはほんの一例ですが、とにかく社会全体が働く人の立場を第一に考えて、
常に職場環境を改善して行くというイメージです。
一ヶ月もの長期間、皆が順番に夏休みが取れるのもそんな環境だからこそと
言えそうです。貧乏性の私から見ると本当に贅沢な…と溜め息がでます。
先日某記事で「お料理で” 材料を寝かせる “ ように、考えやアイデアも
少し寝かせると発酵してもっと良い考えにたどり着く」というのを読んで、
その通りかもしれないな、と思いました。
これからしばらくは暑い日が続くと思いますが、
そういう時には ひと月…とは言わないけれど、自分だけの時間を作り
心も身体を休ませながら、仕事の悩みも考えも一緒にお昼ねさせてしまうのも、
良いかも知れませんね。
夏らしい一日、海を見に行ってきました。新しい海岸線では子供達が
自転車やローラースケートで遊び、若者がビーチバレーに興じていました。
アイスクリーム屋さんは大繁盛。
この週末からコペンハーゲンジャズフェスティバルです。
街中がジャジーな雰囲気に包まれて…コペンハーゲンは賑やかに北欧の夏!満載です。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
http://copensmile.exblog.jp/
海岸は子供連れで賑わっていました。遠くにコペンハーゲンと南スウェーデンを結ぶオアソン橋が…。
このアイスクリーム屋さん、店員さんがたった一人でテンテコマイ。みんな気長に待っていますね。
【きょうのクロスステッチ Vol. 147】 by 岡村恭子
VOL.147 娘のお菓子教室。
torsdag den. 12 july 2012
7月だというの気温が低く、 涼しいのを通り越して 肌寒く感じる日が
続いています。前回掲載した海岸の夏風景が遠い過去のような 、
眩しい太陽の下で日光浴が出来る日を “ 待ちぼうけ “ の毎日です。
そんなある日のこと、急にお菓子を焼きたくなった…と、
娘がキッチンに顔を出しました。お料理本の代わりにPCのレシピページを
開いて、鼻歌まじりに楽しそうです。何を作るのかしら?
一緒に作りたいけれど、ここはひとつ彼女のお手並み拝見。
焼き上がりを楽しみに、それまで私は夏の庭仕事です。
丁度今頃は薮や庭木の剪定時期です。垣根や大きな木は家人に
お任せですが、薮の手入れは概ね私の係です。鬱蒼と茂ったレンギョウや
ライラックや山吹の下枝の方からハサミを入れて行きます。少しずつ
隙間が出来て風が入る様にしてあげると植物達も気持ち良さそうです。
手入れをしながら私も深呼吸、夏らしくない!と文句を言いうものの、
庭仕事には打ってつけのお天気です。汗知らずで動き回れます。
ついでに、目についた雑草取りもします。芝生の間に咲いている紫色の
小花などは可愛らしいから、つい見逃したくなるのですが、見かけに寄らず
地下で逞しく根を張って、少し放っておくと気づいた時には芝生一面が
覆われてしまいます。クローバーも猛烈な勢いで芝生の上を占領中です。
裏庭ではオレガノやレモングラスもスクスク元気です。本当に我が家の庭は
雑草の宝庫(=手入れが行き届いていない)だ、と我ながら感心します。
そんな草むらで小さなワイルドベリーとレッドカラントの赤い実が
沢山なっているのを発見!さっそく摘んでキッチンに持って行くと
丁度ケーキの焼き上がる所でした。仕上げにベリーを飾ったら、まあ、かわいい!
見た目も楽しいおやつの完成です。
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*チョコレートマフィン*
[材料]
小麦粉 110g
ベーキングパウダー 小さじ 1
ココア 大さじ 4
バター 125g
グラニュー糖125g
ミルク 大さじ 3
卵 3個
ビターチョコレート 100g
好みでトッピング用にパウダーシュガー適宜
[作り方]
1) ボールにグラニュー糖と卵を入れ泡立てる。(泡立て器で掬うと角が立つくらい)
2) チョコレートを細かく砕いておく。
3) バターと(2)のチョコレートの内3分の1を一緒にして湯煎で溶かし、火から下しミルクを加える。
4) あらかじめ振るっておいた小麦粉、ベーキングパウダー、ココアを(1)に3回に分けていれる。
5) 更に(3)を加えて全体を良く混ぜ合わせる。
6) マフィンの型に入れ、残りのチョコレートを均等に分けて入れる。200℃で12〜15分
7) 完全に冷めてから好みで飾り付ける。
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娘伝授のデニッシュマフィンは口当たりしっとり&ふんわり、リッチな味わいが
冷たい紅茶にピッタリです。刺繍の合間お試し下さい。
岡村 恭子
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次々に咲く庭の花を切り花にして楽しんでいます。
赤くて可愛らしいワイルドベリー、朝食のヨーグルトにもピッタリです。
マフィン完成! 仕上げにレッドカラントでおめかしです。
【きょうのクロスステッチ Vol. 148】 by 岡村恭子
VOL.148 暑中お見舞い申し上げます。
torsdag den. 19 july 2012
すだれに風鈴、よしずばりにかき氷、打ち水した庭で冷たい麦茶、
夕涼みの団扇に納涼花火大会。暑い季節に涼しさを演出する日本の夏…
と、思い描く情景は風流だけれど、実際には省エネ対策の中、
クーラーの温度調節に頭を悩ませている毎日とお察し致します。
翻って、こちらは相変わらずの低温の日が続き、暑い陽射しが恋しい
今日この頃です。日本とデンマークを足して2で割れば快適そうですが、
これだけはどうにも成りませんね。
E-メールが出現して以来、ペンを持って手紙を書くという事から
ますます遠のいてしまった感が有りますが、それでも、平素ご無沙汰の
親戚の者などには季節の挨拶を書くよう心がけています。
今年も暑中見舞いをしたためる頃となりました。クリスマスカードは
山ほどのデンマークですが、暑中見舞いの習慣などもちろん有りま
せんから、一般のカード売り場でなるべく涼し気な一枚を選ぶのに苦労します。
或る時、ふと思い立って観光絵葉書を使ってみたら、これが案外好評でした。
以来、北欧の夏らしい絵葉書を選んで送るようになりました。
お土産屋さんの店先で絵はがきをあれこれと選ぶのは観光客のようで
なかなか楽しい。ついでにアイスクリームを買って食べ歩きをすれば
気分満点です。今回は*Post&Tele Museumのショップで購入しました。
同ショップは好きな切手を選べるのが嬉しいし、郵便に関する様々なグッズを
展示販売しているので眺めるだけでも結構楽しめます。
袋詰めの古い使用済み切手も安価で販売しています。以前、小学生の子供に
送ったら大変喜ばれました。
コペンハーゲンに観光でいらしたらお薦めのスポットです。
E-メールの文章は何度でも簡単に打ち直せる。書き終わったと同時に
送受信完了!不要になれば簡単に消去、PCのゴミ箱にポイ捨てしてしまう。
あくまでも便利なツールという感じです。
そこへゆくと、手紙には時間をかけて文章をしたためたぬくもりまでも相手に
伝わり、捨てるなんてとんでもない!一枚の葉書でも大切に保管されます。
私の愛読書に『漱石先生の手紙』(出久根達郎 著)があります。
手紙が大好きだったという明治の文豪夏目漱石の手紙を紹介しながら、
著者が尊敬して止まない夏目漱石という一人の人物を優しく分析しています。
彼の手紙を介してその後の人々に与えた精神的影響も興味深く、
とても楽しめる一冊です。
それにしても現存する手紙だけで2500通!とはすごいですね。
私達は見ようと思えば夏目漱石の直筆の手紙を見ることが出来るのです。
夏目漱石の時代にE-メールが無くて本当に良かった!
岡村 恭子
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pm 9:00の庭。紫陽花に太陽蓄電の豆電球をからめてライティングです。
どうやら今年の我が家のプラムの実はこれだけ。。貴重な一個です。
サクランボのお返しにご近所さんからもらった手作りケーキ。
さあ、暑中見舞いを書きましょう。
【きょうのクロスステッチ Vol. 149】 by 岡村恭子
VOL.149 TIVOLI大好き!
torsdag den. 26 july 2012
ようやく夏らしくなってきた、と思った途端に寒暖計の目盛りが急上昇、
本日はコペンハーゲンでこの夏最高気温となりました。
こんな真夏日は一年に数える程しか有りません。裏庭に干した洗濯物も
たちまちパリパリに乾いて、本当に気持ち良いこと…。
この暑さもあと数日との予報に、誰もが “ 今を逃して成るものか “ 状態。
只今、デンマークの夏は最高潮!という感じです。
私達も気持ちよい夜風に誘われて夕涼みがてらTIVOLIに出かけました。
なにしろ、コペンハーゲン市庁舎と中央駅に挟まれた、街の『ド』がつく
真ん中にありますから、夕食後にフラリと行けてしまうのです。
園内に咲き誇る花を鑑賞するだけでも充分楽しめます。大輪のバラと
我が家の庭の草花とを比べては溜め息が出ます。こちらは造園のプロが
支えているのですから比較になりませんが、それにしても見事です。
その夜は丁度デンマークのジャズボーカリストVeronica Mortensenの
ライブがありました。オープンエアステージでビッグバンドをバックに
彼女の甘い歌声が園内に流れて来ます。芝生に寝そべる人、デッキチェアで
ワインを片手に聞き入る人、スイングする人、ステップするカップル、
みんな思い思いのスタイルでリラックスしながら聴き入っています。
TIVOLIはam 11:00開園からpm12:00の閉園まで、時間帯で子供から大人まで
が楽しめるようプログラミングされています。昼間はシーズンカードを購入した
お年寄りがお弁当持参で日参したり、先生に引率された幼稚園児などで
長閑な公園ですが、pm3:00、絶叫マシーンが運行開始すると若者達の行列が
始まります。園内のレストランやカフェも本格的でいかにも遊園地的な
着ぐるみマスコットも名物キャラクターもいません。
伝統的なバレーシアターや名物バルーン観覧車などは絵画のような重厚さが
あります。一言でいうと全部が本物という感じです。
一方で最新のマシーン導入やトレンディなカフェも出現…、それらが
渾然一体と成ってぎっしりと楽しく詰め合わせてある。
どれをつまんでも美味しい!どれからつまもうかな?と迷ってしまう!
まるでアソートチョコレートの箱の中みたいだなあ、といつも思います。
1843年創設当時の『階級身分を越えて全ての人々が楽しめる公園作り』と
いう提唱を170年近くもの間、変わる事無く継承されて来たことが充分
伝わって来ます。
TIVOLIでは省エネ&グリーンエネルギー対策にも積極的に取り組み、
照明を全てLEDに変換、園内の電力供給は風力発電で賄われているのだそうです。
このように良い事ずくめのTIVOLIで、その夜、運試しにやった
ポストマンルーレットでチョコレートが大当たり!ご機嫌で帰宅したのでした。
岡村 恭子
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pm 9:00の庭。紫陽花に太陽蓄電の豆電球をからめてライティングです。
緑豊かなTIVOLIの風景、水鳥ものんびり…。木陰のレストランや野外照明も美しい。
おや?屋根にラベンダーが花盛りです。良い香り。。ここはソーダ水屋さんです。
夜も更けて宝石の様に輝くTIVOLI。
【きょうのクロスステッチ Vol. 150】 by 岡村恭子
VOL.150 4年に一度の大運動会
torsdag den. 2 august 2012
ロンドンオリンピックが始まりました。
イギリスとデンマークの時差は僅か1時間なので毎日ライブで楽しめます。
昼夜逆転で眠くて、眠くて、という友人からのメールに
私が代わりに応援しているから大丈夫!と言ったまでは良かったのですが、
ちょっと待って!…お目当ての女子サッカー『なでしこJapan』の
試合時間にTVで実況しているのは、デンマーク出場種目のカヤックに
ヨットにアーチェリー、サッカーなんて陰も形も見当たりません。
当然と言えば当然ですが、とても残念です。仕方なしにデンマークを
応援しがてらカヤックレースを観戦したら、これが案外面白い。
細く尖ったカヤックが水澄ましの様にスイスイと気持ちよく前進し、
土手を自転車の応援が並走します。水辺の風景が長閑です。
カヤック競技はデンマークの数少ない金メダル候補、この先も健闘して
欲しい所です。
こうして、日頃馴染みの無いスポーツに親しめるのもオリンピックの
楽しみ方のひとつかも知れません。4年に一度のオリンピックを目指し、
厳しいトレーニングを積み、その成果をココ一番!で発揮しなければ成らない。
周囲のメダル獲得という期待が重圧になる。そんなプレッシャーの中で
晴れの舞台に立つ選手達の胸の内は緊張と興奮で高鳴っているに違い有りません。
彼等の強靭な精神力に感動します。
アテネオリンピックで鮮烈なデビューをした競泳の北島康介も今大会で
3回連続出場、アテネ大会からすでに8年が過ぎているのです。スゴイですね!
などと暢気なことを言っていられない。TV観戦の私も含む全ての人が
次回のブラジル大会には4年分歳をとってしまっているわけです。
嗚呼、大変!オリンピックを楽しみしていたら早く歳を取ってしまいそうな
気がしてきました。
そういえば、1964年の東京オリンピックの時に私は中学生でした。
通っていた学校のすぐ近くにグランドが有り、そこでサッカーの予選リーグが
開催されて、先生の引率で全校生徒で観戦したのを思い出しました。
女子校でしたから全員セーラー服!スタンドに制服の女の子達が陣取り
ルールも良く知らないサッカーの応援ですから、選手達はやりにくかったのでは
ないか?と思います。どこの国の試合だったのか?記憶の外ですが、
試合終了後、ノートの端に選手の一人がサインをしてくれたのを覚えています。
それが、ものすごく嬉しくてクラスメートと小躍りした、あの時が私の
東京オリンピッククライマックスでした。
『オリンピックは勝つ事ではなく参加する事にこそ意義が有る』(クーベルタン)
もう一度この言葉を思い出し、みんなで世界の大運動会を楽しめたら
それこそオリンピックの意味が有るというものだと思います。
岡村 恭子
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夏の間だけ、毎週水曜日開かれるラウンドタワー脇の蚤の市。
大道芸人 不思議な二人、どうなっているんでしょう?
ジャガ芋を収穫しました。茹でて塩を一振りしただけで美味!
レッドカラントが豊作です。毎朝ヨーグルト入れたり、アイスクリームに乗せて楽しんでいます
【きょうのクロスステッチ Vol. 151】 by 岡村恭子
VOL.151 子供に戻って自然観察
torsdag den. 9 august 2012
晴れている!と思ったのも束の間、青空の下の方からムクムクと黒い雲が
湧いて来て、たちまち大粒のにわか雨…、そんな変わり易いお天気が続いています。
芝生には早くも紅葉した桜の葉が舞い散り、シュウメイ菊が咲き始めています。
一雨ごとに秋が近づいて来ている気配です。
雨上がりには蜘蛛の巣が水滴をビーズの様にキラキラさせています。
蜘蛛は獲物を捕らえる=食事にありつけるために、根気よく大変な作業を
しているわけです。苦労は分かるけれど人間様の顔にひっかかる場所はダメ、
と帚の先にからめ取ってしまっても蜘蛛は懲りない。
翌日また同じ場所のに立派な巣が完成しています。
ある日の事、裏庭で少し大振りの石を退けると…、一瞬「ワッ!」と
驚いてしまった程沢山の蟻が蠢いていました。迷路の様に幾筋も溝を掘り
土中へと続いています。石の下で建設作業に勤しんでいた蟻一族が
突然天井を取り払われてパニック状態!方向性を見失って『アリさんとアリさんが
コッツンコ♪』しています。その蟻達の一匹残らず全員が黄色い米粒のような
ものをくわえています。卵です。もう少しで運び終わるタイミングだったようで、
ここでも気の毒な事をしてしまいました。
無謀な人間(=私)の仕打ち?にめげず頑張る我が家の庭の蜘蛛や蟻をはじめ
この世に生息する人間以外の生き物は全て、合理化もせず贅沢も言わず、
神様の作ったルールに沿って手間ひま惜しまず、自然の営みを続けています。
結局それが最も賢い方法なのだと言っているようにも感じます。
子供の頃にはちっぽけな虫や道ばたの雑草が身近だったのになあ…。
まん丸虫を手に乗せて眺めた幼い頃、タンポポの綿帽子を飛ばしたり、
朝顔の花を手の中で扱いているうちに生温かくなってしまった時のあの感触、
そのあと手を開くと紫色に染まっていてビックリした時の事。
空に浮かぶ雲が様々な生き物に見えたり、雨上がりの水たまりに写る自分に
笑いかけたり… 、いつの間にかそんな事をしなくなってしまう。
大人になるという事はそういう事なのかも知れません。
それにしても、記憶の底から蘇る自然に親しんだ日々は、何と日常的な
断片なのでしょう。両親が自然に親しませようとして、多分汗だくで連れて
行ってくれた動物園や海山のことよりも、近所のまん丸虫、なのです。
案外そんなものですね。
デンマークは夏休みが終わってしまいましたが、日本は今が夏休み最高潮の頃を
迎えていることでしょう。この機会に親子で身近な自然観察をするのも楽しいかも
しれませんね。
岡村 恭子
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芝刈り中です。芝生の上には紅葉した桜の葉がチラホラと…
リンゴが青い実をつけています。赤くなるまであと2ヶ月程待ちましょう。
雲の流れが早い速い、青空の下から黒い雲がムクムク!
あらら、もうスノウボールが…。
【きょうのクロスステッチ Vol. 152】 by 岡村恭子
VOL.152 チャレンジ アイアンマン 2012
torsdag den. 16 august 2012
先週は変わり易いお天気に秋の気配だとお伝えしましたが、
今週は晴天続きで大喜びです。毎日気温20℃、湿度23%、風はそよかぜ。
これ以上望めない快適指数です。
そんな気持ち良く晴れた日曜日に、世界で一番ハードなトライアスロンと
銘打った “ Challenge Ironman 2012 “ が開催されました。
どのくらいハードかというと、水泳3,8km、自転車180km、そして
フルマラソン42,195 km!この3種目をノンストップで完泳走するのです。
中でも自転車の走行距離180kmにはビックリ!一桁間違っているのでは?と
再確認しましたが本当でした。まったくもってタイトルの“ 鉄人チャレンジ “ に
相応しい内容です。この過酷なレースに何と2000人もの人が参加し、
沿道は日光浴を兼ねて応援するたくさんの人で賑わいました。
それにしても、夏とは言え冷たい北欧の海で散々泳いだ後、自転車で
コペンハーゲンを北に向かってひた走り、約80km地点でUターン。
ゴールに辿り着いたら今度は自転車を捨てヘルメットを取り、マラソンシューズに
履き替え、いざ!フルマラソンです。 … フゥーッ!
運動神経というものをどこかに置き忘れてしまった私には想像を超えています。
ちらっと考えただけで息が切れそうです。今回1位になったのは
オーストラリアから参加した選手で、記録は8時間20分でした。
一般参加者は完走すれば満足、11時間台でゴール出来たら大満足なのだ
そうです。国会議事堂前のゴール地点では参加者の子供達が待ち受けて
父親の姿を見ると飛び出します。そして親子一緒にゴールイン!
子供達にとっても楽しい夏の思い出になったことでしょう。
折しもその日はオリンピク最終日、コペンハーゲンで鉄人達が自分の限界に
挑戦していた丁度同じ頃、世界中から集まったマラソン選手がロンドンの街を
走り抜けていたのですね。何れ劣らぬ健脚自慢がイギリスとデンマークに集合した
日曜日だったと思うとちょっと愉快です。
健脚といえば、” 世界で一番速い男 “ ジャマイカのボルト選手の新記録
100m=9,63秒というのは、1988年ソウルオリンピックで10秒の壁を破り
世界中の人を驚かせたカールルイスが当時のスピードで一緒に走ったとして、
3mも引き離されてしまうのだそうです。う〜ん…それがどうした?
100分の1秒の差に何の意味が有るの?と思う反面、いやいや、
もっと速く!と限界に挑戦する所に人類の発展があるのです。とも思いますが、
そんな立派な事、子供のころ駆けっこをしたら決まってビリだった私には言えませんね。
さあて、オリンピック以来すっかりスポーティーな気分になったところで、
この週末は今年最期の真夏日になるとの予報です。
みんな今から『日光浴の準備してー、よーい、ドン!』という気分です。
岡村 恭子
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自転車レースからマラソンに切り替える地点。
マラソンの折り返し地点。みんな必至で走っています。
拍手に迎えられてパパと一緒にゴールイン!…微笑ましいですね。
マラソンコースのLangelinieで日光浴を楽しむ人々。いかにも夏のコペンハーゲンらしい風景です。
【きょうのクロスステッチ Vol. 153】 by 岡村恭子
VOL.153 救急車に乗った日
torsdag den. 23 august 2012
あっ!と思った時には自転車から転げ落ち、後頭部をガツン!と
打ち付けていました。
いつものように自転車に乗っていた時の事です。
その前日、スピード違反の車を追跡していたパトカーが近所のバス停に
突っ込んでしまった事故があり、警察が事故るとは!と、呆れ返ったばかり
だったので、くれぐれも気をつけようと気を引き締めていた…はずなのに。
大通りのパン屋さんの前を通りかかった時でした。前方には車道から斜めに
自転車専用道にはみ出した白いライトバン。パンを買おうと思っていたけれど、
車が邪魔だからやめようかな?と一瞬迷い、注意力が散漫になってしまったのだと
思います。歩道と自転車専用道との境にある縁石に自転車が乗り切れず、
自転車ごと横転してしまったのです。私の周囲にワラワラと人が来て、
起き上がらせてくれる人、自転車を立て直してくれる人。一人のオジさんが私の顔を
覗き込んで「大丈夫か?」という言葉に「大丈夫じゃない。頭が痛い。」と言って
しまったものだから、そりゃ大変!と救急車を手配してくれてしまいました。
たかが転んだだけで、大げさな事になってしまったなあ、困ったなあ、と思いつつ
後頭部を触るとブクーンとした瘤がどんどん大きくなっているような気がします。
万が一ということもあるし、コトの成り行きに任せる事にしました。
救急車を待つ間、オジさんは私を日陰に誘導し、座る場所を作ってくれて、
何処からか冷たい水まで持って来てくれました。程なく救急車がきました。
親切な” オジさん “ にお礼を述べ、連絡先を聞きましたが、彼は手を横に振るばかり、
行ってしまったのでした。
日頃、サイレンを鳴らして通り過ぎる救急車を見かける度に、野次馬的に
どうしたんだろう?と思っている私が、その救急車の中に横たわっているなんて!
自分でも驚いているのです。家の者達は夢にも思っていないでしょう。
救急車の内部はコックピットの様に医療器具がびっしりと配置されています。
天井から血圧検査の道具が降りて来ました。 冷たい袋を頭部に当てがわれ、
血圧を計る間に聴き取り。その全てが速やかで救急隊の二人が非常に優しいのです。
程なく救急病院に到着。「歩ける」という私を制してベッドのままグヮーンと
院内に運び込んでくれます。みんなが避けてくれます。まるで映画みたいです。
救急フロアにエレベーターで直行です。ちょっとしたVIP扱いです。
既に連絡が入っていたらしくナースが待っていてくれました。私の名前も確認済みの
ようです。そこで病院のベッドに移動し、救急隊は速やかに退出。ナースが鎮痛剤と
*予防接種をしてくれました。小1時間そのまま様子を見るとの事です。
静かだし…なんだか眠くなって来た…と思う頃、ドクターが来て挨拶、次に担当医が
来て簡単な問診の後、頭の瘤を一瞥して一言「大丈夫!」背骨を打診して「大丈夫!」
数日は身体が痛いけれど打撲によるものだから「大丈夫!」という沢山の太鼓判と
診断書をもらい、帰宅したのでした。
ぎっくり腰の様に腰を曲げ、頭にアイスノンを乗せている変なスタイルの私を見て、
仕事から戻った家人、事の次第に呆れ返り『生きていりゃ良いさ』と心底
思ったそうです。
*予防接種=Tetanusというウィルス感染による急性筋肉痙攣の予防接種、
交通事故の時にも有効だそうです。
岡村 恭子
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空に十字架の雲が…。
お昼寝中のミンゴス君、育ちの良さが寝姿に出ています。
一方、こちらはノラ猫カナちゃん。毛並みも寝相も悪いけれど、やっぱりカワイイ。
自転車用ヘルメットを買いました。これでもう大丈夫?!。
【きょうのクロスステッチ Vol. 154】 by 岡村恭子
VOL.154 腰も治って 秋が来て…。
torsdag den. 31 august 2012
周囲の人々を巻き込んでの救急車騒ぎから10日が過ぎました。
まあ、2週間ほどしたら痛みも取れるでしょう。という先生の言葉通り、
転んだ当初は痛くて歩けなかった腰も日増しに良くなってきました。
そうなると、いつまでも家でゴロゴロしていられません。
買ったばかりのヘルメットも出番を待っています。さあさあ、活動開始!と
自転車で出かけようとする私に、すかさず家人が言いました。
「事故というのは何か原因があるものだが、君の場合は何も無い所で勝手に
転んで周囲を心配させるのだから防ぎようもない。くれぐれも用心しなさい。」
というわけで、 まだもう少しの間は自転車禁止令が出てしまいました。
『つい うっかりが事故の元。』
みなさまも車の運転や自転車に乗る際にはくれぐれも気をつけて下さいますように。
さて、早いもので今週末から9月、
今年の夏も扉を閉めて秋のページが始まります。
腰痛を理由に、買い物やお料理まで家人に任せてのんびりとしているうちに、
庭は秋の様相を呈して来ました。紫陽花はドライフラワーの様になって
褪せた色合いの花頭を風に揺らしています。 日ごとに涼しくなり、
ここ数日は日中でも18℃前後、日照時間も随分短くなって来ました。
のら猫カナちゃんも食欲の秋!のようです。食欲旺盛、モリモリと食べて
お代わりを待っていたりします。今から皮下脂肪を蓄えて越冬準備かな?
花壇を眺めながら室内に取り込む草花達のことをアレコレと考え始めるのも
今頃の事。夏の間 外に出していた植物の中でも、今年はとりわけオリーブが
元気です。ひと回り大きめの鉢に植え替えたのが功を奏したようです。
新芽が沢山出て来ました。
もうひとつ元気になってくれたのが、長年室内観賞用として玄関ホールに
置いてあったベンジャミンです。このベンジャミン、今年の冬頃から元気を失い、
葉が茶色に変色してしまいました。もうこれまで、と諦め半分で植木鉢のまま
裏庭の日当りの良い所に放置していたのを家人が見かけ、植木鉢から出して
直接土に植えてみたのです。すると、どうでしょう。見る見る元気になり、
今では茶色の葉はすっかり影を潜め、新緑の柔らかい葉が出始めているでは
ありませんか!
見事に再生!…と感動するより先に、やっぱり植木鉢が窮屈だったのだ、と
いう簡単な理由にも気がつくのでした。近々大きめの鉢に植えてまた室内に
取り込む予定です。他にも秋の庭仕事が沢山あります。
サイクリングに最適のシーズン到来ですが、無理せずしばらくは庭の手入れに
専念しようかな?と思っています。
岡村 恭子
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庭のプラムです。全部でたった4個の貴重品です。
新芽が沢山出て来たオリーブに蜘蛛の糸が、あやとり糸のようです。
この美しい幾何学模様。すばらしい!
庭は少しずつ秋の色合いになって来ました。
【きょうのクロスステッチ Vol. 155】 by 岡村恭子
VOL.155 遠方より友来たる。また楽しからずや・・・の巻き。
torsdag den. 5 september 2012
時折り、ステッチハウスのページを覗くのを楽しみにしています。
微妙な色彩のニュアンスを刺繍で表現した四季折々の草花や風景のモチーフ
などを見るたびに心和みます。
例えば、まだ春遠い冬の朝、何気なく開いたステッチハウスのページに、
パステルカラーのイースターアイテムが更新された時の嬉しさ!
一足早く春が来たようで ポッと暖かい気持ちになります。
逆に翌年のカレンダーが登場すると秋本番!そろそろ暖房の心配をする頃と
なるのです。そして、只今は「今月のおすすめ」の『晩秋の広場 Gråbrødre torv』
に添えられた延江さんのコメント「この木が季節の移り変わりを教えてくれます。」に
思わず頷いている私がいます。
先日はコペンハーゲンでもブルームーンを愛でました。
秋はお月さまも冴え冴えときれいです。
そんな初秋の或る日、久しぶりに友達が来訪しました。
一流企業に勤続30数年の、いわゆるキャリアウーマンの彼女が、
今回は何とお魚の勉強にやって来た!というのです。
唐突な話に一瞬キョトン!としてしまいましたが、聞けば、この春
某国立大学の大学院に入学を果たし、これから” お魚 “ について学ぶ、と
いうことなのです。彼女とお魚も俄には結びつかないのですが、
そんなことよりもこの歳になってから大学受験をし、入学を果たし、
仕事と学業ともうひとつ主婦業を掛け持ちで頑張るというのですから、
その実行力にまず脱帽です。受験の事はご主人以外には口外しなっかたから、
周囲がみんな驚いていると、可笑しそうに報告してくれました。
どうして、お魚の研究(正式には漁方研究)なのかは説明を聞いても
正直ピンとは来ないのですが、本人が学びたいのです。その為に
受験勉強をし、入学を果たしたのです。これを快挙と言わずして何でしょう?
嬉々として語る彼女はまるで少女のようです。
この秋で60歳になると同時に会社の方針で勤務が週三日になり、ようやく
自分の時間ができる、それなら新たな勉強をしよう!自分のスキルをあげよう!と。
それで、お魚研究なのよ。と明るく笑います。
今回、休暇を兼ねてデンマークに行くと知った教授から、帰国したら研究室の
先生達にデンマークの魚事情について報告会をして欲しい、と頼まれてしまった、と、
そこでも屈託なく笑っているのです。
研究室に閉じこもっている体質を変えて行かなかれば!と張り切る様子に、
彼女の行動力と明るい性格なら、もしかして、お魚研究の現場=大学研究室も
楽しいものになるかもしれない、と思いました。
さてさて、私も本日はデンマークのお魚事情をリサーチしながら、夕食の献立を
考えようと思います。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
http://copensmile.exblog.jp/
日本とかなり趣の違うデンマークの魚屋さんです。
広場のマーケットから。
色とりどりの野菜や果物のモチーフを刺繍にしても楽しそうですね!