2018年7月~9月
【きょうのクロスステッチ Vol. 439】 by 岡村恭子
VOL.439 デンマークの夏休み 何もしない贅沢を味わう。
ヒュッゲなひと時がいっぱい!
friday den. 7 juli 2018
7月になりました。さあ、長いサマーホリデーの始まりです。
普段重宝している近所のパン屋さんやペンキ屋さん、花屋さんも
次々とお休みに入ってしまいます。
お互いに交わす挨拶も “ 良い夏休みを!”
冬の間から計画していた長期旅行に出かける人、ヨットやクルーザーで
海に出る人、趣味の世界に没頭する人など様々ですが、
都会暮らしの人の中にはサマーハウスやコロニアルガーデンと呼ばれる
手作りの庭で、わざとのように素朴で少々不便な暮らしを楽しむ人も
たくさんいます。
https://kolonihave.nu
https://kolonihave.nu/index.php/find-en-kolonihave/storkobenhavn
多忙な日常から解放されて、のんびりとした時間を好きなように過ごす。
どうやら、この国の人たちは“ 何もしない贅沢 “ を熟知しているらしく、
傍目にも羨ましいくらい自然体で満喫します。
日本でも話題になった “ ヒュッゲ “ という言葉は、デンマークの
夏休みの過ごし方にも星の数ほど垣間見えると実感します。
とにかく感心するのは彼らが休暇の時には休暇に徹底する事。
半端に仕事など混ぜたりしない。やってみるとわかるのですが、
何もしないでゆっくりするというのも案外難しく、貧乏性の私などは、
たかが午後のひと時を庭でシエスタ…などと気取ってみても、
目の端っこではしっかりと雑草の在り方や、壁のペンキの剥げ具合を
チェックしてしまう。
そうして、やれやれ、とか言いながらゴソゴソと動き出してしまい、
気がつけば夕食の支度をする時分になるまで、ペンキ塗りに精出してしまって
挙げ句の果ては ああ、くたびれた、というのがオチなのです。
さて、こうして街から人々が出て行くのと入れ替わるように、
ストロイエ近辺は世界中からやってきた観光客で溢れるようです。
行き交う人々の言葉も国際色豊かです。
時折、日本語が聞こえると、とても近しい気がして、思わず声のする方を
振り返ってしまいます。雑踏の中で他の国の言葉はかき消されても、
日本語だけはスーッと伝わってきます。言葉の力は素晴らしい。
デンマークには親日家が多くて、思わぬところで日本語ができる人に
出会ったりします。
この夏休みにデンマーク観光を計画している方は、是非とも
ハイ!=こんにちは ハイハイ!=またね! を活用して、
デンマーク人との交流を試してみてください。そうして、地元の人々に
混ざってゆっくりした時間を味わってみてください。
デンマーク観光の思い出は?と聞かれた時に
「公園での何気無いヒュッゲなひと時」と答えられたら素敵だと思います。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
コペンハーゲンは世界中から訪れた観光客でいっぱい!
ジャズフェスティバルも始まり、町中がスイングしています。
観光客で賑わっている通りから外れると、静かな雰囲気に包まれます。
猫ちゃんも人見知り?
今日の庭より。
白い紫陽花に赤いゼラニウム、紫色のラベンダーが夏の庭を彩ります。
プラムが青い実をつけました。紫色になるまでしばらくの辛抱です。
【きょうのクロスステッチ Vol. 440】 by 岡村恭子
VOL.440 自然の力には敵わない。でも頑張る力は湧いてくる。
friday den. 13 juli 2018
この度の豪雨で被災された地域の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
*****************************
地球温暖化の問題解決への意見もまとまらないまま、
ここ数年、天候の変化が著しく極端になって来たような気がします。
デンマークも去年の夏は来る日も来る日も雨降りで肌寒く、
長袖が手放せなったのに、今年は5月から記録破りの晴天続き、
汗ばむ暑さの日が続いています。
北欧というお国柄、暖房設備は完璧ですが冷房は非常に手薄で、
直射日光に照らされ続けたレンガの建物は石焼釜の中のように
ポカポカと温まってしまいます。
近所で一番涼しいのはスーパー、というわけで、夕食後に散歩がてら
冷やかし半分にいってみたら、考える事は皆同じらしく、
夕涼みがてらの買い物客で混み合っていて笑ってしまいました。
すでに丸2ヶ月以上も雨らしい雨が降らず異常乾燥で農作物にも影響が
出ています。この辺で一雨欲しいところですが、今日も雲ひとつない青空
から容赦なく照りつける太陽で、どこもかしこもカラカラに乾ききった
暑い一日となりました。
日本列島も猛暑とのこと。こういう時には無理は禁物です。
冷たい飲み物を手に、夏バテの頭をリフレッシュ!しましょう。
そこで、突然ですが、暇つぶしのクイズです。
“ タカへ “ と “ プケコ “ なんとも剽軽な響きですが、
さて、これらは一体なんでしょうか?次の3つから選んでください。
1) 鳥の名前、2) 花の名前、3) 島の名前。
正解は 1) 鳥の名前 です。
両方とも、ニュージーランドにだけ生息している鳥で
“ タカへ “ は飛べないけど、 “ プケコ “ は飛ぼうと思えば飛べる… らしい。
天敵がいない環境で、のほほんと暮らしているうちに飛ぶことを
忘れてしまったそうで、プケコにしたって出来れば飛びたくないのです。
何とのんきな鳥たち…、と思いつつ、それにしても、タカへにプケコです。
カキクケコ、タチツテト、と並べたみたいで親しみを感じます。
ひょっとしたら言葉の源流が一緒なのかも知れませんね。
ニュージーランドは海底に沈んでしまったジーランディア大陸の一部、
その海中に沈んだ大陸の探査を開始したと聞きました。
中心になっているのが、” ちきゅう “ という日本の海底探査船です。
今日も遠い宇宙の彼方で太陽系宇宙誕生の秘密を探るべく頑張っている
“ はやぶさ2 “ と地球の誕生の鍵を探るべく海底深く探査中の “ ちきゅう号 “ 。
すごいね!日本の技術と探究心!!
それよりも今日明日の問題解決!とはやる気持ちもあるけれど、
今、この瞬間も広大なスケールでそれぞれの持ち場で力を発揮している!と
思うと少し元気になれるような気がします。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
コペンハーゲンジャズフェスティバルの風景。
市内の公園や運河沿いの広場などがライブ会場となります。
演奏者も来場者も勝手気まま、ヒュッゲひと時。
この自由な雰囲気が気に入って参加する有名プレイヤーもいるほどです。
今日の庭より。
日差しの眩しい昼下がりもミツバチと蝶々だけは大忙し。
写真はラベンダー&蝶々、オレガノ&ミツバチ
夏の定番おやつです。鞘から出してそのまま お口にポイッ!
甘くて少し青臭いような野菜の滋味。
やめられない止まらない!!よく冷えたビールにもピッタリ!。
- 2020.04.04
- 23:58
【きょうのクロスステッチ Vol. 441】 by 岡村恭子
VOL.441 猛暑お見舞い申し上げます。
私流 手軽な夏休みの楽し方教えます。
friday den. 20 juli 2018
暑い暑い、と言っているうちに気がつけば夏至からひと月が過ぎて
しまいました。8月になれば秋風が吹き始め、時折り私たちの方を
振り返りながら、夏が少しずつ後ろ姿になってゆく。。。
北欧の夏は今がクライマックスです。
いつもならBBQを楽しむ季節ですが、今年は異常乾燥でBBQも夏の花火も
全面禁止です。大きな袋入りのコール(燃料)が物置の隅っこで
出番を待っているけれど、今の所オーケーサインが出そうもない。
芝生は言うに及ばず、花壇や植え込みの庭木も渇水状態です。
節水協力をー!という市当局からの呼びかけに、なるべく水撒きを
控えてはいますが、家人は黄色く枯れてしまった芝生を見かねて、
夜陰に紛れて長いことホースで水撒きをしていました。
でも、翌朝、緑に蘇るという淡い期待が完全に裏切られてからは、
諦めてひたすら雨乞いの日々です。
異常乾燥はデンマークだけではありません。
隣国スウェーデンでは乾燥による自然発火の森林火災が、なんと80箇所
も発生して、今も懸命な消火活動が行われています。
一方、グリーンランドでは巨大な氷河が溶けて陸に接近、沿岸の住人が
避難する騒ぎです。そして、連日体温を超える猛暑の日本列島…と、
地球全体が暑い空気に覆われているような気がしています。
どうか、皆様も熱中症対策怠りなくこの夏を乗り切ってくださいますように。
さて、夏休み真っ盛りのデンマークですが、我が家では何処へ行くでもなく、
手近なところでコペンハーゲンの夏を楽しんでいます。
例えば、サマーセールショッピングに出かけたり、
夕食後、ここがもし避暑地だったら、と仮想しながら町内を散歩したり。
そして、週末の蚤の市ではワクワクしながらその場の雰囲気を満喫、
観光客の気分になって歩けば、見慣れた風景も新鮮に感じられる…?
という安上がり&思い込みのホリデーです。
先日はフレンチカフェで朝食を楽しみました。
(ブランチではなくて朝食というところが今回のポイント。)
爽やかな朝の空気の中、これから職場に向かう人の姿もハツラツとして見えます。
観光地コペンハーゲンが見せる束の間の日常という印象です。
そんな表通りを一筋、二筋入ったところにパリのブロカント雑貨のお店 :
Beau Marcheがあります。所狭しと置かれた食器やインテリア小物に
つい衝動買いしそうになるのをこらえて、お店脇のポートをくぐります。
カフェ Beau Marche は、いかにも裏庭という感じのコートヤードに
トリコロールの旗が目印です。
私たち以外にも新聞を読みながら朝食を摂っている人がいて、
パリの裏町もきっとこんな感じだろう。
同じ卵でも家のキッチンで食べるのとは違う!
人が作ってくれると美味しいねえ。
そんなことを話しながら、さてお腹がいっぱいになったところで
サマーセールショッピングスタートです。今回の収穫はいかに?
こうして、我が家からバス一本で往復できる私のコペンハーゲン観光は続きます。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
夏のハイシーズンを迎え、コペンハーゲンは何処も観光客でいっぱい!
疲れたら木陰や水辺で一休み、サマーセールもクライマックスです。
カフェ Beau Marcheから
朝食メニューはこの他にクロワッサンのみ。
珈琲は一回ごと豆を挽いて入れてくれます。
今日の庭から。
水不足で庭の植物も元気の無い中で、
日陰に咲く鮮やかなピンクの紫陽花と紅花瓢箪木のオレンジ色の実が健気です。
【きょうのクロスステッチ Vol. 442】 by 岡村恭子
VOL.442 デンマークは猛暑雑記 : 真夏の夜の訪問者
friday den. 11 august 2018
久しぶりの更新です。
連日の猛暑に加えて次々に発生する台風と、この夏は
文字通り “ 酷暑 “ の日々と思いますが、皆さまいかがお過ごしですか?
デンマークも2018年夏は記録的な猛暑となりました。
新聞には『ここはサウナ風呂?!』という見出しが躍り、
メトロの車内温度が32℃まで上昇、乗客からのクレーム殺到、とか、
最新設備を誇る新築病棟の室温が28℃で病人夜も眠れず、などなど
手薄な暑さ対策による市民生活への影響を訴えています。
果たしてこの猛暑が今年だけの異常気象なのか?来年も続くのか?
今の所、様子見と言ったところですが、少なくとも公共機関の
暑さ対策は早急の課題になっています。
「そうよねえ、日本ならどんなに外が暑くても室内は涼しいし、
電車の中は寒いくらいだものねえ。学生の頃は授業サボって映画館に
涼みに行ったものよー。」と、そんなことを話していたら、横から
「あのね、デンマークの映画館はどこも蒸し風呂状態だから閑古鳥!!」
と、自嘲的な笑い話です。
いつもなら「暑ければ木陰で涼んでいれば良い。」とお気軽なのが、
今年はその木陰でさえ暑いのですから、人々の我慢も限界です。
暑さに慣れないこの国の人々は30℃になったらもう完璧にお手上げです。
おまけに海水浴場は赤潮が出て遊泳禁止、思わず橋の上から運河に飛び込む
無謀な若者達も出現して、とにかく、頭から水を浴びたい!という感じです。
夏休みにカヌーで運河巡りをしようとしたら、その運河が干上がってしまった、
というのには可笑しいやら気の毒やらですが、それ程異常乾燥ということですね。
我が家も例外ではありません。夜中まで窓もベランダのドアも開けっ放しです。
その日もなかなか寝付かれず、夜風がカーテンを揺らしてくれるのをまんじり
ともせず待っていると、ふと、ベッドの横で何かがすーっと動いたような、
不思議な気配に、うん?… あらっ?!… ベッドから身を起こしてみると、
すぐ傍で小さな生き物が動いたような … わっ!猫です! 黒猫です。
驚いた私に、相手もビックリしてトパーズ色の目をキラリと光らせたかと
思ったらたちまち何処かに消えました。
明かりを点けて、今のは夢?いや、違う!確かに猫だった!
急ぎ、階下に行くとやはり暑くて寝疲れないのでしょう。
一人PCで遊んでいる家人に聞きました。「猫を見かけなかった?」
何をボケているのか、と言いかけて、あっ!と今度は二人で声をあげました。
可愛い黒のシマシマ猫が庭先のドアのところに佇んでいます。
うちの子になりたいならそうしなさい。と、そのままにして翌朝見に行くと
猫の姿はありませんでした。真夏の夜の夢のようなほんとの話。
開け放しているとこんな楽しいこともある、けれど、泥棒だって
入って来られるのだからやはり少しは用心が必要だと思って、
それからはなるべく戸締りをするようにしています。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
夏の庭から。アイスキャンディーにスイカ。水分補給がキーワードの夏です。
運河の浴場は連日大賑わい。街行く人々もすっかり日焼けして。。。
【きょうのクロスステッチ Vol. 443】 by 岡村恭子
VOL.443 新学期になりました。
文房具にまつわるお話です。
friday den. 17 august 2018
デンマークは一足早く夏休み明けとなりました。
新学期がスタートして、新一年生の背中で真新しいカバンが
揺れています。
デンマークの義務教育は9年間、プレスクールクラス(自由選択)を
加えると10年間の一環教育です。
7才~16才の子供達が同じ屋根の下で授業を受けます。
クラス替えもありませんから入学から卒業までずっと同じクラスメートと
共に学び過ごす。これはちょっとしたギャンブルで、生徒だけでなく
担任の先生にも当たり外れが生じます。
思うような授業内容にならずに問題を抱えてしまうケースも無きにしも
非ずなのです。それでも一環教育の良いところは担任が生徒一人一人の
性格を把握できるという事でしょう。個性を尊重して自立心を育む。
一言に義務教育といっても夫々お国柄が出て面白いと思います。
さて、
あの暑かった夏が嘘のように、俄かに秋の気配を感じるようになて来た午後、
本棚から抜き取ったのは、新学期シーズンに相応しい一冊、
『文房具 56話』(串田孫一 著)です。
昭和の随筆家であり、哲学者でもあった筆者が自身の周辺にある文房具を
親しみこもった眼差しで見つめています。
子供の頃からの思い出などを織り交ぜながら綴られた文章に
読んでいる私も「そういえば…」と、文房具にまつわる思い出が蘇ります。
…消しゴムに穴を開けたり削ったり、鉛筆をグイグイ押し付けるようにして
いたずら書きをしていたなあ、あの消しゴム特有のちょっとゴムっぽい、
いかにも文房具という匂い、半透明で甘い匂いのなど色々あったけれど、
小さいライオンのマークが入っている消しゴムがあって、その少し平たくて
ザラつく感じとか、丸くなると削って尖らしていた事などを俄かに思い出し
ました。すると、文房具にまつわる思い出が次々に芋づる式に浮かび上がって
ああ、懐かしい。。。
母が作ってくれたチェック柄のお習字の道具入れや、絵の具の白くて小さい
水差しなどもお気に入りでした。
串田孫一さんは最後まで万年筆で文章を作成していたという事ですが、
現在、私の一番身近な筆記用具といえばボールペンです。
買い物リストや日記もボールペンで走り書きです。
中学の入学祝いにもらったパイロット万年筆は一度たりとも馴染まずじまい
だったし、書き損じたら消しゴムで消せるという便利な鉛筆も今や過去の
ものとなり、今では何でもかんでもPCに打ち込んで保存という時代に
なりました。
手紙もほとんどE-mailで済ませてしまう。実じ便利な世の中になりましたが
急速に日常生活から文房具の活躍する場面が少なくなってしまったのは
ちょっと寂しいような気もしています。
岡村 恭子
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私の身近な文房具たち。
・『文房具 56話』& 鉛筆=コーリン樹木鉛筆
・ガラスのぺーパーウェイト。小さい方は名刺サイズ。Design by “ og “
・母宛の手紙だけは切手を貼ってエアメールで。
・蛍光カラーのサインペンは忘れん坊の覚え書きに不可欠。
・スケルトンのボールペンは無印良品(1本84円)帰国時にまとめ買い。
仕事柄、家人のデスクには文房具が色々と、鉛筆削りも健在です。
今年もお隣さんから無花果のおすそ分けを頂きました。ジャムにしましょう!
【きょうのクロスステッチ Vol. 444】 by 岡村恭子
VOL.444 人生に何回あるのだろう?
懐かしい人との偶然の出会い
friday den. 24 august 2018
ステッチハウスのページを覗くのが楽しみです。
新着商品の紹介に、刺繍の心得のない私でさえ心踊らせて、
こんなのもいいわねえ、などと呟いたりしながら開いていると、
ステッチハウスの名物 : 気まぐれブログ『KuNeruAsobu 』が
5月以来、ひと夏またいでの更新です。
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1991.html
そののんびりしたところも延江さんらしい、と笑いながら
ページにアップされた楽しい写真を見て思わず呟いた。
「ああー、同じ場所にいたんだ!」… そうなのです。
あの日、私たちも彼女と同じクリスチャンスハウン生誕400年を祝う
お祭りストリートを散策していたのです。
どうやら、少々の時間差と散策コースの違いでニアミスしていたようです。
今回のように、ほんの限られた範囲にいてもすれ違ってしまうことが
多い中で、ごくたまに全く予期していない場所で予期せぬ人物に
バッタリ出会うことがある。
つい先日のことです。
諸用でコペンハーゲンの旧市街地を通り越し、大きなお堀を渡った先まで
出かけた時です。待ち合わせ場所に近道しようと公園を斜めにつっきていると、
ゆったりと葉を茂らせたマロニエの並木の向こうから、若い女性が笑顔で
近づいて来ます。ほとんど同時に私もそれが誰なのか?気付きました。
娘の小学校時代の親友エルビーラです。
学校帰りにいつも一緒に遊んでいた大の仲良しです。
それにしても何十年ぶりかで、それも街外れのあまり人通りのない場所で
バッタリ出会うなんて!… 後から思うととても不思議だけれど、
その時は、ごく自然にお互い笑いながら近づき、たちまち当時に戻ったような
懐かしさに包まれて挨拶を交わしたのでした。
少女時代と少しも変わらぬ明るく闊達な彼女の傍らで、可愛い女の子が
恥ずかしそうにしています。あのお茶目だったエルビーラがステキな
お母さんになっていました。その日の偶然な出会いを娘に伝えると、
彼女も驚きながら、原宿表参道の雑踏の中で、デンマーク人の友達に
偶然出会った時のことなど、 “ 偶然なお話 “ で盛りがりました。
そういえば、ずいぶん前になりますが、こんなこともありました。
北欧家具のイベント会場でのことです。確かに、以前どこかで会ったことの
ある人物と目が合いました。先方が私に微笑んでいます。
(という風に私には見えました。)しかし、どこのどなたか?…
どうしても思い出せません。そのままでは失礼だと思い、思い切って尋ねました。
「どこでお会いしたでしょうか?」すると、彼は柔和な笑顔で、
「もしかしたらTV越しに会っているのかも知れませんね」
と言うではありませんか。彼は当時人気番組の司会者だったのです。
帰宅後、家人にそんな偶然の出会いがあったというと、
それは偶然とは言わないかも知れないよ、と笑っていました。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
鈑金術師のおじいさんからネームプレートの作り方を教わる子供たち。
白いジャケットの男性は地元の画家。分厚い作品集を即売中
高みの見物?
ここからなら延江さんを見つけられたかも知れませんね。
同じ日にコペンハーゲンアイアンマンレースも。3000人が参加、
遠泳、自転車180㎞、フルマラソンの過酷なレースに挑みました。
Christianshavnのフリーマーケットで50’sのトランジスタラジオをゲット!
【きょうのクロスステッチ Vol. 445】 by 岡村恭子
VOL.445 マーケットでおしゃべりランチ &
今夜のおかずは “ 秋鯖の香り揚げ “
lørdag den. 1 september 2018
皆さまお待ちかね、
秋のオープンステッチハウスの案内がアップされました。
今回もワークショップに作品展、そしてデンマーク直送の刺繍キットが並ぶ
ミニショップ、加えて、延江さんとのおしゃべりタイム!と楽しさ満載、
刺繍三昧の5日間になることでしょう。
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1958.html
初秋の空の下、素敵な集いになりますように。。。
9月になりました。
カレンダーを一枚めくって…暦の上でも秋。。。と思った途端に
たちまち文字通りの『秋』になってしまいました。
あんなに暑い暑い!と文句を言っていたのが嘘のような涼しさです。
本日 只今、私、長袖ハイネックにセーターを羽織っています。
あのカリカリに焦げるように暑かった夏が、遠い夢のように思われてきます。
夜8時頃には日も暮れて、外が暗く、夜が夜らしくなってきました。
夕暮れ時、家々の窓から漏れる灯りが暖かく感じられるようになり、
庭の草花たちもシンと静まり返って、そろそろ寒い季節の向かう準備です。
何気ない暮らしの中の小さな兆しが季節の変わり目を教えてくれています。
そんな秋の気配漂い始めた昼下がり、久しぶりに延江さんと
“ おしゃべりランチ “ をすることになりました。
今回は “ Torvehallerne “ https://torvehallernekbh.dk です。
お天気が良ければ外のベンチも良いし、帰りがけに主婦の買い物も済ませられます。
長年コペンハーゲンッ子に親しまれてきた青空市場をリニューアルして誕生した
このマーケット、当初は古くから続いた青空市場を惜しむ声が大半で、
長続きしないだろうという予想に反して、今ではすっかり市民生活に
密着したばかりか、観光スポットとしても人気です。
ガラス張りの建物が2棟、食料品を売るお店以外にもカフェや簡単な食事を
楽しめるカウンターが並び、気軽なフードコートも兼ねています。
いつ行っても買い物客で賑わっている様子は、ちょっと”デパ地下”に似ているかな?
石畳の広場には青空市場が復活、色とりどりに季節の野菜が山積みされた店先で
品定めをするのも楽しいし、バラ売りや量り売りだったりするのも今時なんだか
嬉しかったりします。
おしゃべりもひと段落して、さて、今夜のおかずは何にしよう?
2人で向かったのは魚屋さんでした。おっ!新鮮なサバが氷の上で、
青い目をこちらに向けている。迷わず、一匹を三枚に下ろしてもらいました。
他に、和食材料を揃えているお店で冷凍納豆とお豆腐を購入し、
広場の青物市場でぷっくりとした大根をトートバックの中に加えて完璧です。
ああ、大満足ね。2人顔を見合わせて、今回のおしゃべりタイムは終了です。
バス停で見送ってくれる延江さんに手を振って家路を急ぎます。
その日の夕食に鯖を使った一品が登場したのは言うまでもありません。
岡村 恭子
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Torvehallerneの広場には新鮮な野菜と花の市場が。
買い物の合間にカウンターで一休みするも良し。
マーケット内のお寿司コーナーにて。
サッポロビールの他にキリンもありました。。
白ワインとお醤油に浸しておいた魚に小麦粉を軽くまぶしサラダ油であげる。
熱した小鍋にコマ油とサラダ油をそれぞれ小さじ2ずつ、生姜、長ネギ、好みでニンニクの
みじん切りを入れて炒め、砂糖大さじ1、醤油大さじ2、最後に酢大さじ1で味付け。
さっと茹でたチンゲンサイ、大根おろしを乗せて、タレをかけて出来上がりです。
好みで唐辛子をトッピング。
【きょうのクロスステッチ Vol. 446】 by 岡村恭子
VOL.446 初秋の頃の徒然日記
lordag den. 9 september 2018
大型台風に地震と、この夏は酷暑に加えて自然災害が次々と
日本列島を襲い、不安な気持ちを抱えて暮らしている方も多いのでは
無いでしょうか。
いざ!という時に的確な行動を取るのは簡単では無いと思いますが、
まずは懐中電灯の電池をチェックしたり、非常用飲料水を確するなどして
万が一に備えておくことが大切かもしれませんね。
デンマーク、特にコペンハーゲンはバルト海という内海に面している
おかげで台風などの直撃を受けにくく、時おり大西洋上に発生したハリケーン
の影響を受けて洪水になることがあるくらいですが、でも、
この夏ヨーロッパを襲った熱波で、人々は地球の温暖化を文字通り
肌で感じてしまった。。。。
現在、そんな若者達を中心に地球の温暖化を食い止めよう!という運動が再燃、
国会議事堂前などで集会を開いています。
思えば、1997年の “ COP3 “ で調印された、京都議定書から
20年以上が経て、今尚、世界各国のCO2削減の約束は守られず、
足並みも揃わないという状態が続いています。
それに、果たして議定書を内容を守れば温暖化が食い止められるのか?と
いう根本的な疑問も浮上しているようです。
個人レベルで出来ることは家中の照明をLEDに替えることくらいかなあ?
…、うう~ん。難しい。。。と、深刻に考えていたらキリが有りません。
気分を切り替えて庭に目を向けましょう。
デンマークは日増しに秋の色を濃くしています。
夏枯れだった芝生もすっかり緑に蘇り、その間から沢山のキノコが顔を
出しています。
庭の真ん中にある我が家のシンボル桜の老木はついに朽ち果て、
枯れ枝にキツツキがやってきてしきりに穴を突いています。
きっと、幹の中に美味しいご馳走が詰まっているのでしょう。
それと、もう一本、リンゴの木も枯れてしまった様子です。
いつもなら今頃赤い実を沢山つけてくれるのですが、
赤くなる前にポトポトと落ちてしまった。
サクランボとリンゴの木。
我が家の庭に実りをもたらしてくれていた2本の果物の木が寿命を
閉じようとしています。他人様が見たらただの枯れてみすぼらしい老木かも
しれませんが、私たちにとってはこの家に暮らしてからずっと一緒だった
家族も同然の庭の主役と準主役、名残惜しい気持ちでいっぱいです。
でも、このままにしておくのはもっと可哀想なので、
冬が来る前に “ キコリのお兄さん “ に伐採してもらう予定です。
(デンマークには大きな木を伐採する専門の職人さんがいます。
私は彼らを “ キコリのお兄さん “ と呼んでいます。)
庭先の植木鉢に目を向けると、春に花盛りだったパンジーが淡いブルーの
花を咲かせています。
他にも色々と今年の咲き納めをするように庭を彩る草花の健気な様子が
日々の癒しになっています。
岡村 恭子
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写真は全て、今日の庭から
芝生の間から次々と出てくるキノコ。
カンパニュラやパンジーの花が庭先を彩り、
紫陽花の花はドライフラワーになって、そのまま越冬します。
【きょうのクロスステッチ Vol. 447】 by 岡村恭子
VOL.447 デンマーク、愛すべきは譲り合いの精神? &
スパゲッティー閑話 : ふりかけの味 ボッタルガ初秋の頃の徒然日記
lordag den. 15 september 2018
朝、通勤の人々に混ざってバスに乗りました。
昼間はいつだってガラガラに空いているバスも、さすがに
ラッシュ時は通勤通学の人で混み合います。
雨が降ると普段自転車の人も乗り込んで来るので余計に混むのですが、
デンマーク人というのは(私から見ると)こういう場合の助け合いの精神に
欠けているというか、気が利かないと言うべきか?…とにかく、
出入り口で混み合っているばかり、運転手さんの、もっと後ろへ!という
誘導虚しく “ 乗車口付近ギューギュー、後ろ半分スカスカ状態 “ で
ノロノロと発進してしまいます。
以前にも書きましたが、だいたいにおいて順番待ちの行列というものが
苦手な国民性で、バス停はもちろんですが、例えば、ソーセージスタンドなども
きちんと並ばず適当&曖昧です。それでも大丈夫なのは(ここがデンマーク人の
良いところなのですが)ここぞとばかり譲り合いの精神を発揮する。
どうぞどうぞ… あら?あなたが先じゃない?… と言い合った後、
徐に ではでは、お先に…。となるのです。
お店側が「今度はどなたの番ですか?」と尋ねる場合もあります。
するとそこでも譲り合いが始まって。。。という具合です。とにかく
のんびりしています。どうやら、われ先に、という考えがないようなのです。
きちんと並べない!と文句を言いたくなる場合もあるけれど、反面、そこが
デンマーク人の良いところかもしれないとも思っています。
その日もなんとか無事に用事を済ませてホッと一息。
さて、と、夕食は簡単にしましょう。
そういう時にはパスタが大活躍します。
我が家では麺類が食べたくなると、和洋中華と様々なアレンジで
スパゲッティーが食卓に登場します。
例えば、夏のランチにはスパゲティーで作った冷やし中華が定番です。
あまりに日常化していて写真がないのが残念ですが、中華麺よりも
コシがあって、時にはトマトやレタスを添えて“ スパゲッティーシノワーズ “ です。
また、お饂飩が食べたい。でもお饂飩が無い!という時にも お任せください!と
ばかり張り切って?登場します。ツユを吸い込んでくれないという弱点を除けば、
これはこれで喉越しツルリン…、たまたま冷凍庫に眠っていた海老を揚げて
天ぷらうどんの完成です。
ことほど左様に便利なスパゲッティーですが、今夜は正当?イタリアン。
ようやく手に入れたマグロの卵Bottargaを使ったシンプルな一品です。
ボッタルガをふりかけたパスタが絶品!と噂で知ったばかりなのです。
本当はカラスミのような塊を下ろして使いたい所だけれど、今回は瓶詰めで我慢です。
レシピをYouTubeで検索、手早くささっとものの15分で完成です。
さてさて、お味は?… うん!美味しい。けれど、何かに似ている。
そう、ふりかけ??!!マグロの卵なのですから当然と言えば当然です。
次回はバターで和えて醤油少々、刻み海苔のトッピング。
和風にアレンジしてみようと思います。
新しい食材を試すのは何かと発見があって楽しいですね。
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
メトロのホーム : 乗客、自転車、乳母車。好き勝手な場所で乗車待ち。
バス内部の様子。乳母車は2台まで乗車可能。
あちこち探して、ようやく見つけたボッタルガで作ったスパゲッテイー。
次回は和風に仕上げよう!
【きょうのクロスステッチ Vol. 448】 by 岡村恭子
VOL.448 空飛ぶブーケ アゲイン。
lordag den. 22 september 2018
コペンハーゲンは台風一過の秋晴れです。
台風といっても大したことなくて、少々荒れ模様の低気圧が通過した、
という規模でしたが、ニュースではレポーターが荒波打ち付ける海岸から
実況していました。その周辺に民家など皆無、逆にわざわざ車で乗り付けて
きてダイナミックな風景!と感動している人にインタビューして、
まるで荒天を楽しんでいるようなのでした。
少し健康を崩して家でぐずぐずしていた週末、
ソファに陣取り、ブランケットにくるまってヌクヌクしていると
玄関のベルがなりました。週末なので郵便屋さんではありません。
はてな?お隣さんかな?それともエリックかな?… 違いました。
見知らぬ青年が花束を持って立っていました。以前にも同様のことが
あったので、今回は驚かない!すぐにわかりました。
怪しいお方ではありません。お花屋さんです!
手渡されたのは紫と白でコーディネートされたシックなブーケ。
差出人のカードにはNOBUと書いてある。はてさて?と考えるまでも無く
これはもう、東京にいる延江さんに決まっています。
早速テーブルに置きました。レースのようなオレガノの蕾からハーブの
良い香りが漂って、午後の日差しを受けてとても綺麗です。
ありがとう。私はメキメキ回復しています。
東京からコペンに戻ったらお茶しましょう!
それにしても、インターネットを利用して世界中から
お花を贈ったり贈られたり…本当に便利になりました。
去年、家人の誕生日に思いもかけない方から素敵な花束が届いたのを
思い出します。
https://www.stitchhouse.jp/hpgen/HPB/entries/1685.html
私も、真似して?親友がジャズライブを開催した時に花を贈りました。
インターネットのカタログページは種類も豊富で用途に合わせて
実にバリエーション豊富です。どんな花が良いかなあ?と、
散々迷って選んだのは、 相手のことを思いつつ、 かさばって邪魔に
ならないようにと、ごくごく小さなバスケットに入ったアレンジでした。
東京⇄コペンハーゲン間を花束が行き交うようで想像するだけで楽しい。
だからと言って、何でもかんでもインターネットショッピングというも
どうなのでしょう?
私はやっぱり直に手に取り、触り、服なら試着をしてから、と思うけれど、
その辺はどうなのか?と聞いたら、それはそうだ、と。
だから、ブティックで試着して気に入った品番を控えてインターネットで
購入するのだそうです。(インターネット価格の方が安い)
若い人たちの方がよほどしっかりしていると感心しますが、一方で
これではお店の方は商売になりません。近い将来 街からブティックが
消えてなくなってしまいそうだとハラハラしているのは私だけでしょうか?
岡村 恭子
http://copenhagensmile.weebly.com/
どちらも東京から届いた花束。
実際には最寄りの契約店で作って運んでくれるのだけれど、
“ 空を飛んできた感 “ があって嬉しさひとしおです。
お花屋さんの店先より。
季節の花が山積みで見るだけでも楽しい。